北陸3県の食品スーパー、シェアトップはアルビス? イオン? 大阪屋ショップ?

北陸3県の食品スーパー、シェアトップはアルビス? イオン? 大阪屋ショップ?

2021年8月8日

コロナ禍も大雪時も店を開け続け、みんなの食卓をささえてくれている食品スーパーについて、北陸3県の市場占有率(シェア)を紹介する。

参考にしたのはアルビス(射水市)が2020年6月に公表した資料(その出店元は「食品スーパーマーケット年鑑」らしい)。あなたのお気に入りのスーパーは、一体、何位だろうか。

福井はバローが首位

順位会社名市場占有率(シェア)
1バロー14.9%
2平和堂11.2%
3ヤスサキ10.3%

3位のヤスサキは福井市に本社を置くスーパー。同社ホームページによると、1966年に衣料品のチェーンストアとして創業した。福井県内を中心にスーパーのほか、ホームセンターの「ワイホーム」、100円ショップ「ダイソー」やTSUTAYAのフランチャイズ(FC)などを展開。2021年7月に白山市でオープンしたイオンモール白山内のTSUTAYAも、ヤスサキが経営している。

イオンモール白山のTSUTAYAはオープン時に福井銀行から花が届いていたので何故だろうと思っていたが、福井の会社が経営しているということを今回初めて知った。

2位の平和堂は「アル・プラザ」「オレンジマート」でおなじみ。滋賀県が地盤で、福井とは地続きという関係から強いのだろうか。むしろ、福井は確か全国で唯一、イオンが無い県(ただ、今度、マックスバリュができるようだ)であることが、平和堂のシェアを押し上げている要因かもしれない。

1位のバローは岐阜県のスーパーで、Vドラッグも展開。スポーツジムの「アクトス」なんかもやっており、大きな会社ではあるが、福井のスーパー業界でシェアトップとは今まで知らなかった。

富山は大阪屋とアルビスの2強

順位会社名市場占有率(シェア)
大阪屋ショップ25.2%
アルビス24.0%
ユニー8.2%

富山は1位の大阪屋ショップ(富山市)とアルビスの2強体制で、両社のシェアを合わせると半分近くになる。このデータは数年前のものなので、最新のデータでは50%を超えるかもしれない。

大阪屋ショップは富山市に本社を置く手前、どちらかと言うと県東部に強い。一方のアルビスは射水市に本社を置き、県東部に店は少ない。後述するが、どちらかと言うと、西や南を見ているようだ。

この両社、地理的にすみ分けているように見える他にも、対照的なことろがある。大阪屋は非上場だが、アルビスは東証1部上場である。チラシや店内の雰囲気を見ても、大阪屋は低価格を前面に打ち出そうとしているのに対し、アルビスは地産地消とか新鮮とかいう切り口を重視しているように見える。

そもそも、この両社、過去にいろいろないざこざがあり、現在の2強体制に落ち着いている。とても根深い対立構造があるのだが、この辺りは機会があれば詳述する。

3位ユニーは愛知が地盤で「アピタ」「ピアゴ」を展開。富山県内もイオンは西部(高岡、砺波)に固まっており、富山市など東部にはない。富山市の大型商業施設は、アピタが2館、平和堂系列の「ファボーレ」が1館、地場の「アピア」が1館。

ユニーはもともと独立自営だったが、一時期ファミリーマートの子会社となり、今やディスカウントショップ「ドン・キホーテ」を経営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京)の傘下に。全国の旧アピタをドンキとの「Wネーム」の店舗にリニューアルしており、富山県内でも砺波、魚津にそうした店舗がある。

Wネームの店内は基本的にはドンキそのものなのだが、鮮魚売り場や青果売り場に、良い意味でユニーの影響が見え隠れ。見たところ、このコラボはうまくいっているようだ。

ちなみに、富山県でも4位にバローが入っている。

石川は県外勢の天国、マルエーが何とか3位死守

石川県は福井同様、上位を県外勢にもっていかれている。

順位会社名市場占有率(シェア)
アルビス13.6%
イオンリテール13.2%
マルエー9.9%

3位マルエーは白山市に本拠地を置き、金沢周辺から南加賀方面にかけて店舗を展開する。地元テレビ局とタイアップ企画を進めるなど、県外勢の侵攻が激しい中で石川県勢として何とか奮闘している。

ただ、筆者としてはあまり良い印象を持っていない。老朽化した店舗も目立つし、数年前までクレジットカードにすら対応していなかった。スーパーでの買い物は1回当たり数千円で、月に数万円。カードで払えばそれなりにポイントが付く。

設備の新旧も支払い方法の多様化も来店客にとっては大切で、この辺を軽視している印象を持ったため、たまに寄る程度だった。

石川は2位にイオンリテールが入っているのが特徴か。石川にはイオンと名の付く大型ショッピングセンターが5館ある。この統計でどこまで含むか分からないが、イオン系列のマックスバリュも金沢市から南加賀にかけて出店している。

1位はアルビス。石川、富山は人口規模がほとんど同じで、スーパーの市場規模も同程度だろうが、同社の石川県内での販売額は、同社が富山県内で販売する金額の半分強に過ぎない。つまり、2強体制の富山県に対し、石川はまだまだ群雄割拠ということ。ちなみに、4位は平和堂、5位は七尾市の「どんたく」となっている。

この統計後、アルビスはさらに店を増やし、イオンはイオンモール白山を開業させた。一方のマルエーは「マルエーミニ」という小規模店舗をいくつか出店したものの、中には退店したところもあり、シェアとしては横ばいか縮小傾向にあるとみられる。

北陸全体のシェア、富山2強が強い

最後に、北陸3県のシェアを見てみる。

順位会社名市場占有率
1アルビス15.2%
2大阪屋ショップ11.5%
3バロー8.2%
4ユニー7.0%
5平和堂6.7%

やはり富山県の2強が強い。大阪屋は富山県のみでランクインしたが、実は石川県内にも5店ほどある。ゆっくりと西進しているようだ。

もっとも、最近はドラッグストアやコンビニも生鮮食品や総菜など、スーパーの専売特許だった分野を開拓している。スーパー同士のシェアを見るだけでは、業界の現状は正確に分からないかも知れない。昔、あるスーパーの幹部が言っていた。

スーパーの敵はスーパーじゃない。店舗数が多いドラッグストアであり、何なら家まで運ぶアマゾンや楽天だ

今回はとりあえずスーパーのみの比較にとどめるが、機会があれば他の小売業態も交えたランキングをつくってみたい。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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