JR西日本が発表した2021年7月の北陸新幹線の利用者数(上越妙高ー糸魚川)は、20年7月と比べて41%増となった。徐々に回復はしているが、コロナ禍前の19年7月と比べると58%の減少で、低調さが続いている。
北陸新幹線は15年3月の開業後、それまでの在来線時代と比べて約3倍の利用実績があった。その後もほぼ横ばいに近い利用者数を維持し、関係者を驚かせていた。
しかし、さすがにコロナ禍には抗えず、20年4、5月は19年同月比で9割以上の減少となった。秋以降は19年秋に台風による車両の浸水被害を受け、運行本数を制限した反動により、数字的には前年比50%を上回った。
20年比 | 21年比 | |
4月 | 387 | 33 |
5月 | 345 | 25 |
6月 | 125 | 29 |
7月 | 141 | 42 |
しかし、年が明けて21年に入ると、再び低調になり、7割ほどの減少になった。
20年度は年間を通じて19年度比64%の減少に落ち着いた。
2期連続の赤字予想
JR西は7月30日、2022年3月期の業績予想を下方修正し、最終黒字化を見込んでいた連結業績予想は、一転して1000億円前後の赤字に陥るとの見通しを示した。21年3月期は2331億円の最終赤字であり、2期連続の赤字となる。
JR西は従来、新幹線や商業施設、ホテル運営などで得た利益を、ローカル線の赤字補填に回すビジネスモデルを構築してきた。しかし、このコロナ禍では、そうした黒字部門が軒並み赤字になった。
これを受け、JR西は21年10月にローカル線のダイヤを見直すことにした。福井県の越美北線で運行本数を減らすほか、城端線をワンマン運行にすることで人件費の節減を図る。