クスリのアオキホールディングス(HD、白山市)は2022年7月4日、今期(23年5月期=22年5月21日~23年5月20日)の連結業績予想を公表し、売り上げ、利益とも1割程度の増加となる見通しを示した。
22年5月20日時点で826店(ドラッグストア819店、調剤専門薬局6店、スーパー1店)を展開しており、今期はドラッグストア90店の新規出店を計画している。多少の閉店があっても900店を超える体制に持っていけそうな勢いだ。
その結果、売上高は前期比9.6%増の3,600億円、営業利益は8.0%増の152億円、純利益は9.8%増の108億円と見込んだ。年配当は22年3月期から3円増の29円を予定する。
「ドラッグストア」?
22年5月期の決算短信を見ていて気付いたことがある。飲食料品の売り上げ比率がどんどん高まっており、全体の半分に迫っていることだ。
ここで、22年5月期の売り上げ比率を示す。ジャンルは飲食料品、家庭用品、美容(化粧品、フェイスケア商品)、健康(医薬品、健康食品)、調剤(薬局として処方する医療用医薬品)の5分類だ。
業態名は「ドラッグストア」だが、一般用・医療用を合わせた「医薬品」と健康食品の合計は22%に過ぎず、家庭用品と同じぐらいの比率となっている。
それでは、10年前に当たる12年5月期の実績と比べてみよう。ただ、当時の決算短信では飲食料品と家庭用品は1つの商品部門として開示されていた。
「飲食料品+家庭用品」は22年3月期に計63%のところ、10年前は50%だったことが分かる。比率の上では「飲食料品+家庭用品」が伸ばした13ポイント分は、健康や美容が減らした分と言える。
確かに、最近はドラッグストアの店舗入り口すぐ、目立つ棚には特価のスナック菓子やペットボトル飲料が展開されている例が多い。
半ば想像も混じるが、医薬品は購入頻度が低い上、値引きしにくくて他社と差別化しにくい。その点、飲食料品は使用頻度が高いため消費者への訴求力が強く、季節感も出しやすいし、プライベートブランドがあれば違いを打ち出しやすい。
業界内の出店競争が激しい中で来店動機・頻度を高める施策を練るうち、飲食料品の存在感が名実ともに高まったとみられる。