全国で陸上、洋上の風力発電事業を手掛ける日本風力サービス(東京)は珠洲市大谷峠に大規模な風力発電施設を新設する計画を固めた。最大出力は3万kwを大きく上回り、完成すれば、石川県内の風力による発電能力は現状より2~3割向上することになりそうだ。
プロジェクト名は「珠洲大谷峠ウィンドファーム事業」で、出力3,600~5,300kwの発電機を10基設ける。発電設備の最大出力は計3万6,000kwを予定する。
事業実施想定区域の広さは427.78ha。発電機の設置予定範囲は68.9haらしい。兼六園が11.7haというところからすると、その巨大さがリアルに想像できるだろう。
珠洲市大谷町というのは、能登半島の外浦沿いにある地域で、海沿いにある集落のすぐ背後に山々が広がっている。その山には既に風力発電機が何基も備え付けられている。
下の地図は大谷町。山あい(海岸沿いのゴジラ岩から真南に進んだ山中、緯度37.47827804279138,経度 137.18952557870284あたり)に既存の風力発電設備が複数見える。
石川県のホームページによると、県内で稼働している風力発電設備の合計出力(2020年3月末)は13万6,000kwとなっている。
この間の1年半に巨大な設備が稼働していないと仮定すると、県内全体の風力による出力は27%ほど増える計算になる。
石川の風力出力は全国9位
少し古いデータだが、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が都道府県別にまとめた18年3月末時点の風力発電導入量の調査によると、その時点で石川は12万4,500kw分の設備を有しており、全国で多い順に9位だった(ちなみに富山県、福井県は真ん中より下位)。
確かに、県内では羽咋、志賀近辺や珠洲近辺で多くの風力発電設備を見掛ける。ここから、かつて浮上した原発設置計画では反対運動が起こった珠洲も、再生可能エネルギーの活用には理解が深いと見える。
日本風力サービスは計画に関する意見を求める期間に入っているが、それほど大きな反対も出ないのではないだろうか。