冨士タクシー、初乗り1㎞560円、実質2割弱の値上げ要請 / 金沢は運賃改定へ議論 / 複数の同業者も申請

冨士タクシー、初乗り1㎞560円、実質2割弱の値上げ要請 / 金沢は運賃改定へ議論 / 複数の同業者も申請

北陸信越運輸局は2022年8月25日、冨士タクシー(金沢市)から運賃改定に関する要請書が提出されたと発表した。同社が申請した初乗り運賃は現状から実質2割弱の値上げとなる。

実際に改定されるには、多数の法人タクシー事業者の賛同が必要となるが、筆者の取材によると、冨士タクシーと同じ金沢交通圏(金沢地区)の別の2社も既に運賃改定の申請に入っている。

各社の車両が待機しているタクシープール=金沢駅兼六園口(東口)

金沢地区以外の値上げ申請に関する続報は以下のリンクから

小型車・中型車 → 「普通車」に一本化を提案

冨士タクシーは運賃改定の要請に当たり、現状の「小型車」「中型車」の区分を見直して「普通車」に統一することを提案した。

小型車と中型車の車両の違いは一般利用者にはほとんど分からず、全国的には普通車への一本化が進む。新潟県A地区(新潟交通圏)も、2022年9月24日の運賃改定に伴って小型車・中型車を普通車のみに見直す。

値上げ背景に人件費、燃料費の高騰

さて、冨士タクシーが示した初乗り運賃は1㎞まで560円、加算運賃は244mまでごとに90円となっている。現行運賃との違いをまとめると、以下のようになる。

新運賃現運賃
初乗り普通車
1.0㎞まで560円
中型車
1.653㎞まで710円
小型車
1.653㎞まで700円
加算普通車
244mまでごとに90円
中型車
216mまでごとに80円
小型車
263mまでごとに80円

仮に、新運賃の下、現在の初乗り運賃でギリギリ乗れる1.6㎞利用したとすると、初乗り+3回分の加算運賃を払うので、計830円に。これは現運賃から見て16~18%の値上げに当たる。

金沢駅金沢港口(西口)のタクシープール

タクシー業界関係者によると、値上げの背景には人件費や燃料費の高騰がある。

新型コロナ禍のエネルギー価格は世界的な経済活動の回復や資源国・ロシアがウクライナに攻め入る政情不安などから、需給がひっ迫して価格が高騰している。かねてよりの人手不足から人件費の上昇圧力は強く、タクシー会社は営業費用の増加に悩まされている。

これに加え、コロナ禍では外食需要が大きく減退。特に酒席が減少し、夜間の割増運賃で遠方まで利用するような客が減ったため、タクシー会社は売り上げ面もダメージが大きい。

今回の運賃改定には、そうした影響を緩和する狙いがある。消費者として値上げを歓迎はできないが、これだけ世の中の商品・サービスの価格が上がる中、業界の存続のためには仕方ないと考えるべきだろう。

手続き進めば 2023年春にも運賃改定

運賃改定に向けた今後の流れは、こうだ。

① 2022年11月22日までに、法人タクシー事業者のうち、台数ベースで7割以上が要請書を出す。

② 北陸信越運輸局が2023年4月22日までに運賃改定を審査する。

③ 新運賃が公示、適用される(公示と適用のタイムラグは通常1カ月ほど)。

順調に手続きが進めば、2023年春に運賃が改定されるということだ。

ちなみに、冨士タクシーが属する金沢地区(金沢交通圏)は法人タクシーが1,265台(33事業者)あり、「7割」は886台に当たる。

冨士タクシーに大和タクシー、石川交通、石川近鉄タクシーを加えた上位4社の台数は合計で5割ほどのはずだ。要請が7割未満なら運輸局の審査は見送られるため、審査の開始には中小法人事業者も要請する必要がある。

タクシー運賃は「公定幅運賃」という仕組みが採用されている。運輸局は最終的に「〇〇交通圏の初乗り運賃は〇㎞まで上限A円、下限B円の範囲で設定できることとする」という内容の許可を出す。

初乗りで言う「公定幅」は40円前後なので、冨士タクシーの提示した運賃が採用されるとすると、公定幅運賃は560~520円ぐらいで設定されるとみられる。

そう考えると、冨士タクシーは公定幅を意識して「初乗り500円台ライン」を死守できるよう意図して申請したように見える。今後、各タクシー会社がどのような運賃を求めてくるのか楽しみである。

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