金沢・片町の再開発、2021年度中に都市計画決定へ / 完成は2027年度を目指す

金沢・片町の再開発、2021年度中に都市計画決定へ / 完成は2027年度を目指す

2021年9月10日

金沢市片町2丁目の片町きらら―香林坊交差点間で構想が進む再開発事業で、2021年度中に都市計画が決定する見通しとなった。2027年度の工事完了を目指す。

ピンク色で囲んだ部分が再開発の予定地

計画では、12~13階建てのビルを建て、1~2階の低層フロアを商業施設、高層フロアをホテルやマンションとする。マンションの協力事業者は野村不動産となっている。

再開発組合ではもともと、2020年度中の計画決定を目指したが、コロナ禍で会合を開けず、進ちょくに遅れが出たようだ。

これは推察だが、特にホテル事業者はコロナ禍でのダメージが大きく、新規の案件に構っている場合ではない、という背景もあったのではないか、とみている。

さて、今回の再開発の対象となる地域は地図の通り。

広さは4,000㎡で、百万石通りに面した間口は300mほどとなる。

「脱・中途半端」なるか

再開発の予定エリアはちょうど商業施設「片町きらら」「香林坊東急スクエア」を結ぶブロックに当たる。この既存2施設、北陸新幹線開業の前後に建て替えやリニューアルをかけ、華々しくデビューした。

ところが、この数年は見るからに振るわない。コロナ禍の今は特殊な状況下でテナントが出ていくのも、ある意味で仕方ないが、特に片町きららに至ってはコロナ禍以前から空床が目立っていた。

メインテナントのH&Mが通りに面したエリアにあるおかげで、百万石通り側から見ると、それほど空きが気にならなかったが、いざ館内に入ると、途端に空いた区画が散見された。

片町きららに入るテナントは10店ほど。「何もないわけでもないが、何かがあるわけでもない」という中途半端な大きさだ。

筆者は近くで働いていた経験があるが、時間調整のために何度か寄ったことがある程度で、何か物を買った覚えはない。いつも、どこか失望感と共に館を後にしていた。

これは大なり小なり、香林坊東急スクエアにも当てはまる。店が多ければ良いわけではないが、消費者にとって選択肢の多さは魅力だ。例えば各イオンモールと比べると、そもそもの規模が劣っており、だからこそ魅力あるテナントが集まりにくかったと言える。

「金沢の中心部は駐車場が有料だからだ」という声もありそうだが、金沢フォーラスだって、一定金額以上を買わなければ有料であり、停滞の理由付けにはならない。

それら「半端」な2つの商業施設を分断してきたのが、今回の再開発対象エリアだった。そう考えると、今回の再開発が完成すれば、東急スクエア~再開発商業施設~片町きららという一連の商業施設が完成することになる。

10店前後の施設も3つ集まれば30~40店になり、そこそこの規模となる。大切なのは、立地上、コロナ後には観光客もそれなりに訪れるであろうこと、それなりに長く金沢にいる人にとっては「香林坊」「片町」といった地域へ出掛けることに、いまだ特別感を持っているだろうことを意識し、施設づくりを進めることだ。

そのためには3館が連携し、うまく棲み分けて相互補完し、あたかも3館で1館であるかのように消費者に訴求できるような体制づくりが必要になる。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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