福井銀行と福井新聞社、DX推進で新会社 / 対等出資の事業会社は全国初 / 10月にアプリ開始

福井銀行と福井新聞社、DX推進で新会社 / 対等出資の事業会社は全国初 / 10月にアプリ開始

福井銀行と福井新聞社は2022年9月5日、地域のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するための新会社「ふくいのデジタル」を共同で設立した。10月にデジタル決済やデジタルクーポンの機能を付したアプリ「ふくアプリ」をリリースする。

福井銀行の発表によると、出資比率は半々で、地方銀行と地方新聞社が対等出資で事業会社を設立するのは全国で初めてという。

地域ニュースや防災情報を提供

ふくアプリは地域ニュース、防災情報などを提供するスマートフォンアプリで、デジタル決済(地域通貨、プレミアム付き商品券)、デジタルクーポン、デジタルポイント、デジタルスタンプラリーの機能を持ち、自治体や企業と連携して段階的に提供サービスを拡充する。

新会社は、ふくアプリを通じてDXの新たな体験価値を提供し、持続可能な地域社会を創り上げることを目的とする。

福井銀行と福井新聞社は2016年、福井県内のキャッシュレス推進を目指して電子マネーカード「JURACA(ジュラカ)」の共同運営を始めた。2018 年には県内に特化したクラウドファンディングサービス「ミラカナ」を開始した。

そして、北陸新幹線敦賀延伸を見据え、スマートフォンを活用した域内消費と交流拡大を支援する地域共創型アプリの共同開発を目指し、2019年秋から協議を重ねてきた。

新会社の社長は37歳!古式ゆかしい業界には珍しい!

ところで、今回の発表で筆者が最も注目したのは、新会社「ふくいのデジタル」の社長に就いた福井銀行の小林拓未氏。神戸大経済学部卒で、2021年12月から営業企画チーム新規事業、グループ会社担当推進役を務めている。

年齢は「37歳」というから、筆者と同い年か1つ違いだ。

地方紙に籍を置いた身として、銀行と新聞社という、半ば昭和で時間が止まっている業界にあって、新会社のトップにまだ30代の社員が就任するということは、大きな驚きである。

小林氏の経歴を見ると、入行は2009年というから、まだ14年目だ。

一般的に「古式ゆかしい」親会社の子会社トップは、親会社で行くところまで行った役員が退職前に出向するパターンが多いと思う(例外はある)。子会社が「時代の変化を捉え、さらなる…」と立派なお題目を唱えても、肝心のトップが理解度・やる気とも「?」な事例は枚挙に暇がない。

37歳が人間として若いかどうかはさて置き、定年年齢まで勤めるなら、まだ20~30年間も働くことになる。

年配の役員・社員が要らないと言っているわけではない。自社の未来や地域の将来を考える仕事は、これから長く働き、長く生きる人が中心であるべきだろうということ。そういう意味で、ある意味チャレンジングな今回の社長人事に拍手を送りたい。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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