2021年の石川県の基準地価、上昇地点数が倍増/金沢周縁部と小松の上昇が顕著

2021年の石川県の基準地価、上昇地点数が倍増/金沢周縁部と小松の上昇が顕著

2021年9月24日

石川県は7月1日時点の基準地価を公表し、県内の上昇地点は116地点となり、2020年調査の54地点から2倍以上に増えた。コロナ禍2年目に入り、金沢はもちろん、周縁部に当たる内灘町や野々市市、津幡町、北陸新幹線の延伸を控える小松市の一部で上昇が顕著だった。

県内の調査地点は291地点あり、このうち20年と比較できるのは281地点。内訳は上昇が全体の41%に当たる116地点、横ばいが15%の42地点(20年は38地点)、下落は44%の123地点(同189地点)となった。

その結果、住宅地平均はプラス転換し、変動率は20年のマイナス1.1%下落からプラス0.3%となった。商業地は1.9%下落から1.1%下落に改善。工業地と宅地見込み地を含めた「全用途」は0.1%の下落(20年は1.4%の下落)に改善した。

石川県2021年2020年
住宅地+0・3%-1・1%
商業地-1・1%-1・9%
全用途-0・1%-1・4%

 

市町別上昇率トップは内灘町

市町別に平均変動率を見ると、最も上昇が大きかったのは内灘町で2.7%、2位は野々市市で2.2%、3位は津幡町で1.7%となっている。以下、金沢、かほくと続く

金沢が4位というのは意外だが、変動率は前年比だから、もともと底堅く推移する場所は上昇率が小さくなりがち。今年の金沢の上昇地点は65地点で、20年の40地点から2倍までは増えていない。

ただ、上昇地点の構成比は64%で、全県平均より高い。そのため、変動率で言えば周縁部の市町の方が大きく出ているのだろう。

ちなみに金沢市内でも上昇が遅れていた金市町、高柳町、神谷内町など、東部の住宅地は上昇率が7%超と大幅に高まっている。県内で最も上昇率が大きかった住宅地は、森本地区にある荒屋町で、20年から8.0%上昇した

 

商業地の上昇トップは小松駅前

県内商業地の上昇率トップは、小松駅東口の小松市日の出町1丁目で、上昇率は3.6%だった。

同地点は20年の調査でも2.5%上昇。新幹線延伸に向けた期待感の高まりを表していると言えそう。

特筆すべきは県内商業地の上昇率トップ5に、1位の日の出町1丁目に加え、2位に沖町(3.0%上昇)、5位に園町(2.7%上昇)が入っていること。

金沢駅周辺など、近年は観光客の増加に伴って土地需要が高まっていた地域に落ち着きが見られる中、相対的に浮上したとも言える。いずれにせよ、上位5地点のうち3地点を小松が占めるのは珍しい事態だろう。

下落率1位は片町、マイナス基調は一過性ではない?

逆に下落率が県内で最も大きかったのが金沢市片町2丁目だった。下落率は20年の4.5%から7.1%に拡大している。

コロナ禍で飲食需要が低下し、不動産需要が大きく減退していることが主因だろう。個人的には、片町周辺は(繁華街にありがちな状況だが)夜に見るとキラキラして見えても、昼に見るとボロボロの老朽ビルが多い。

飲食需要がニューノーマル下でコロナ禍前の水準にまで完全回復しないとすると、そうした老朽ビルはテナントが埋まらず、いずれ潰す運命になるのではないかと思っている。

老朽ビルを潰した跡地で何ができるか。飲食機能というのは中長期的に片町から金沢駅周辺へ分散が進んでおり、今さら片町に大きな飲食ビルを建てて採算が合うかは疑問だ。

まずは駐車場になり、その後、ホテルにでもできればいいが、駐車場のまま塩漬けになる土地が多くなる可能性もある。そう考えると、片町の下落は、変動率としてはやがて落ち着くだろうが、じわじわと地盤沈下が続く可能性もあるとみている。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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