エイジェーインターブリッジ(東京)は「いい風呂の日」に当たる2022年11月26日、金沢市長町の銭湯「松の湯」をグランドオープンさせる。もともとの「松の湯」は2020年3月に閉店しており、同社によると、廃業した銭湯が復活するのは、石川県内で初めてらしい。
同社は現在、銭湯「松の湯」復活プロジェクトを始動させ、応援購入サービス「Makuake」でクラウドファンディングを始めた。期限は22年10月29日で、同18日17時時点では目標金額300万円に対し、80万円強が集まっている。
1階の浴場はサウナ付きで、九谷焼のタイルを内装にあしらった。2階はカフェ&ワークラウンジで、3〜6階はテナントと中⻑期滞在用レジデンスとなる。
営業時間、施設の電話番号等は未定。
「俺たちのワークマン問題」が長町でも!?
2022年3月4日放送のTV番組「ガイアの夜明け」で、作業服販売の「ワークマン」が取り上げられていた。その中で興味深かったのは「俺たちのワークマン問題」という言葉だった。
ワークマンがカジュアル衣料に守備範囲を広げて「ワークマン女子」などと打ち出して商品群と客層を拡大すると、従来のワークマンの主要顧客だった現場作業を伴う仕事の人たちが店に入りにくくなって「俺たちのワークマンが変わってしまった…」と嘆いているそうだ。
今回、長町の銭湯プロジェクトを見ていると、これと似た問題が起こる気もする。
現地は筆者が勤めた新聞社の近くにあり、旧「松の湯」の前を通ると、おそらく徒歩圏内に住んでいるだろう高齢者が利用する姿を見かけた。そうした層にとって、ワークスペースも備えるオシャレ空間に生まれ変わった「松の湯」は、せっかく復活しても全くの別物と映るかもしれない。
まさに「私たちの松の湯が…」という感じである。
これからはインバウンド(訪日外国人旅行者)の来県数も本格的に回復してくるだろうし、そういう新たな客層をメインに据えるのだろうか?仮にそうなら、なぜ名称を引き継いだのだろうか?あるいは、高齢者を中心とした従来の地元客を呼び込む秘策があるのか?
今後、どういった客層に、どんなアプローチをかけるのか、興味深いところである。