※2022年11月10日21時すぎに、赤字部分を加筆しました。
2022年9月末時点で債務超過になることが分かった日医工の株価は、11月10日、売り圧力が強すぎて板が合わず2日連続のストップ安となった。終値は282円で、仕組みの上では翌11日に最悪なら株価が1円になる可能性も出てきた。
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10日終値は282円、上場来安値196円に接近
日医工の株価の推移は下の通り。
日医工は8日の大引け後、多額の減損損失を計上するため9月末時点で債務超過状態に陥ることを公表した。すると、時間外取引ではストップ安水準の362円まで売られ、実際に9日のザラ場でもずっと値がつかずに362円で引けた。
上場来安値は2022年5月16日につけた196円。10日終値282円は上場来安値と86円差まで接近してきた。
さあ来た、制限値幅4倍
通常、株価が300、200円台の銘柄は、前日の終値から上下80円の幅でしか取引できない。しかし、2連チャンのストップ高・ストップ安になると、その幅が4倍になる。
つまり、本来なら11日は「282円±80円」の「202円~362円」の範囲で取引するはずなのだが、特例によって下方のみ制限値幅が4倍に拡大される。
上には80円しか動かないのに、下には320円も動く。ただ、日医工の株価は既に282円と低位なので、最低価格が1円になるということだ。
時間外取引は報道受けて反発?
経営再建のスポンサー探しについては、北日本新聞が22年9月に「支援へ3社有力」と先行して報じていた。
そして11月10日には、一部報道(※初報の出どころが分からないが、共同通信か)が国内投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP、東京)と医薬品卸のメディパルホールディングス(HD)がスポンサーとして有力だと流した。
その影響なのか、時間外取引で株価は反発し、19時の段階では終値から13%ほど高い320円近辺で取引されている。
メディパルHDは22年3月末時点で日医工株の9.9%を保有し、信託口を除けば実質的に筆頭株主となる。メディパルHDは報道を受け、日医工のADR手続について「株主として様々な可能性を検討しているが、現時点で決定された事実はない」とのコメントを公表した。
もっとも、仮にスポンサーが見つかっても何かしら条件を付けるだろうし、それが株主に有利に働くとは限らない(むしろ不利に働くかも)。
しかし「何か良いニュースみたい」と安易に考えた新規株主が時間外取引で、ここ2日間で売れなかった既存株主と株を交換しているのではないか。既存株主の方が日医工の現状や環境に詳しいだろうことからも、筆者は時間外取引の反発が「罠」だと思うが、どうだろうか。