私的整理の一種「事業再生ADR手続き」を進めてきた私的整理の日医工(富山市)は2022年12月28日、債権者の承認を経てADR手続きと事業再生計画が成立したと発表した。15金融機関による債務免除額は最大で985億円に上る。
また、計画に基づき、日医工は2023年3~4月ごろに上場を廃止する見込み。
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15金融機関の債権額は1,574億円、返済条件も変更
日医工の発表資料によると、同社が取引している15金融機関は、今回の事業再生計画に関係する債務を計1,574億円分(22年3月末時点)持っている。
このうち、既に債務免除が確定しているのは557億円。今後、427億円が追加で免除になる可能性があり、免除額は最大で985億円となる。
計画には債務免除とともに、免除後の対象債権について、返済条件の変更も盛り込んだ。
日医工は今後、各金融機関に一律3,000万円を返し、2024~2028年の6月末には営業損益がプラス(黒字)であることを条件に、フリーキャッシュフローの半分を返済原資に充てることにする仕組みなどを導入する。
一般株主の保有分は1株36円で買い取り
事業再生計画には、事業面の施策として、富山工場の生産改善、不採算品からの撤退、遊休資産の売却など、合理化を進める方針を盛り込んだ。
スポンサー契約を結んだ独立系投資ファンド「ジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)」が管理・運営する合同会社ジェイ・エス・ディー(JSD)に対し、第三者割当増資の方法で総額200億円分の株式を割り当て、資金供給を受ける。JSDにはJWP側が80%、日医工と提携している医薬品卸のメディパルホールディングス(東京)が20%を匿名組合出資する。
日医工は2023年3月下旬~4月ごろに発行済み株式を7,038万株余りから1株に併合し、JSDの完全子会社となる。JSD以外の株主には1株当たり36円を交付する。当初の発表によれば、この一連の手続きに伴って創業家の田村友一社長が退任する。
事業再生計画によると、2026年3月期には債務超過状態が解消する見込みだという。