ガソリンの高騰を味方に~リスクヘッジとしての投資~

ガソリンの高騰を味方に~リスクヘッジとしての投資~

2021年10月21日

ガソリン価格が高騰している。ネタのないマスコミは毎週のように「ガソリンが●●年以来の高値」「生活を直撃」と、しつこく報じる。すると、消費者のマインドは落ち込む。

この状況を打開するのが、投資によるリスクヘッジである。

例えば、原油価格が高騰する局面では、市場全体の動向とは別に、原油の採掘を行う会社や石油元売り企業の株価が上昇する。例えば、INPEX(東京)の株価を見てみよう。

Yahoo!ファイナンスのチャート(https://g.co/finance/1605:TYO?window=YTD

1カ月前の9月下旬時点では700円台後半をウロウロしていたが、現在は900円台後半で推移している。

つまり、1カ月で200円上昇したのだ。日本株は基本的に100株単位の売買となるので、100株を保有している人は1カ月で2万円、200株なら4万円の含み益になっているはずである。

レギュラーは直近1カ月で6円高

一方、ガソリン価格はレギュラーの全国平均が158円から164円に6円上昇した。ガソリンを使う量は家庭の事情により異なるが、50リットル入る車で月2回、満タン給油すると仮定すると、1人で100リットル、夫婦2人なら200リットルを使用するため、1カ月前と比べた家計へのマイナス影響額は月1200円となる。

仮にINPEX株をいま売れば100株につき2万円の利益が確定するわけで、ガソリンに灯油などを加えた1年分の影響額を考えても、十分にお釣りが来る。

ガソリン高騰が家計に打撃を与えるどころか、むしろ家計を潤す結果になるのだ。

もっとも、今回は直近1カ月のみを切り取ったが、株価は日々変動するので、買うタイミングによっては上記のように顕著な儲けは出ない。

しかし、多少の誤差はあれ、ガソリン価格が上がり始めたら資源関連銘柄を買う、という行動をとれば、少なからず家計への影響は相殺できるのは間違いない。

嘆いていても解決しない

この考え方は、何もガソリンに限ったものではない。食品であれ、携帯電話料金であれ、世の中に「値上げ」が発生する対象はたくさんある。

もちろん、中には製品やサービスの原価が高くなって単に価格転嫁しただけで、利益水準に影響しない場合もある。しかし、必ずしもそうでない場合は企業の利益水準が底上げされ、結果として株価が上昇する。

「あれが高くなった」「これも値上げされた」と嘆くばかりでは何も解決しない。最近は株式購入もネット証券で簡単にできる。リスクヘッジの手段としての投資、考えてみてはいかがだろうか。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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