鶏卵高騰の余波大きく/特売タマゴの条件が厳格に/キユーピーは1Q決算で早くも通期計画を下方修正

鶏卵高騰の余波大きく/特売タマゴの条件が厳格に/キユーピーは1Q決算で早くも通期計画を下方修正

鶏卵価格の高騰が生活への余波を広げ始めている。北陸では食品スーパーが特売タマゴの価格を引き上げ、特売価格の適用条件を厳しくしている。キユーピーは2023年4月6日、第1四半期決算の発表と同時に通期の業績予想を下方修正するに至った。

キユーピーの発表資料によると、鶏卵高騰の背景として鳥インフルエンザの世界的拡大があり、それによって鶏卵の需給が逼迫している。この状況はしばらく続く見込みらしい。

筆者の近所のスーパーではもともと、土曜限定で10個入りタマゴを55円(税別)で販売していた。買い物1,000円ごとに1人1パック買えたので、例えば家族で行って2,000円分の買い物をしたら、2パックを計110円(同)で購入できた。

というのが、つい半年ほど前までの話。

現在では下記ツイートのように、価格が上がり、条件が厳しくなり、今では「1,500円以上を買えば1家族1パックに限り98円(同)」という販売方法になっている。

タマゴの相場は1年前の1.7倍に

JA全農たまご(東京)のホームページによると、東京でのタマゴの相場(M基準)は2023年4月が1㎏350円となっている。22年4月は211円だったため、1年後の現在は1.7倍の水準に当たる。

ちなみに、過去5年(18~22年)の平均値は201円で、最も安かった18年は179円と現在の半値ぐらいだった。

原価高で各利益が前期実績から半減

キユーピーは2023年11月期第1四半期(22年12月~23年2月)の決算発表とともに、通期の利益計画を前回予想比で3割ほど引き下げた。

第1四半期決算を見ると、合わせて全社売り上げの8割を占める「市販用」「業務用」は増収だったにもかかわらず、利益が6、7割落ち込んだ。そのため、第1四半期の全社レベルの各利益は前年同期比で7割超の減益となった。

この延長線上にあるのが通期計画の下方修正であり、修正後の各利益は前期(22年11月期)の実績から、ほぼ半減することになる。

ここまで利益が目減りすると、また商品の値上げがあっても不思議はない。そうなると、家計はまた苦しくなって……というスパイラルがちらついている。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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