2023年5月21日に下リンクの記事を書いたところ、想定を上回る閲覧数となった。皆さん、今の方向性に思うところがあるのだろうと受け止め、筆者なりに改善策を論じてみる。
目次
レンタル着物は悪??/そんなワケない
まず、金沢市在住の筆者から見て、金沢には保守的で無用なプライドを持ち過ぎている人が一定数いる。二言目には「本物というのは…」と言い、安価なもの、初心者向けのものを頭から否定するタイプの人だ。
これを筆者はネガティブな意味で「本物じゃなきゃ根性」と認識している。
例えば、数年前から、若者がレンタルした着物で街を歩く姿を頻繁に見るようになった。古くさい考えの人が多い新聞社内では「あんな安っぽい着物で歩かれると、街の品格が…」みたいな言葉を何度も聞かされた。
筆者なんか、自分の地元を遠方の若者が楽しそうに歩いていると、それだけで誇らしい。そもそも「本物の着物」って何?大学生や新社会人に、数百万円の加賀友禅を買ってから金沢へ来いとでも言うのだろうか。
ハイブランドの服を着ようが、ファストファッションを愛用しようが、他人がどうこう言う理由はない。着物も、雨の多い土地で初めて袖を通すなら、入門編のレンタルが最適だろう。しかも、派手な色柄の着物なんて若い時分しか着こなせないし、それで良いじゃないか。
地元マスコミを中心に「金沢は文化がうんぬん」と戯言を抜かしすぎだ。そこで言う「文化」とは「〇〇協会に入っていない奴は偽物」みたいに、排他的で視野の狭いもの。何となく高尚に聞こえて曖昧な言葉で仲間たちの立場を正当化し、既得権益を守っているに過ぎない。
文化は人々が土地の風土に合わせて生きる中で自ずから発展・形成されるもの。ならば時代とともに変容するのだろう。そこにユニークな価値があるかどうかは、広く外部からの目で見て初めて判定できるだろう。
それなのに、内部の人が「コレが我々の文化。他は認めない」と言うのは、単に前例踏襲で思考停止になっているだけだ。本当の文化というのは、もっと懐が深く、さまざまな新しい変化を内包して新たな在り方を示していくものだと思うが…。
「百万石行列=仮装パレード」なんでしょ?
金沢百万石まつりにも同じ違和感を抱く。まつりは戦後に始まったイベントごとで、百万石行列は仮装パレードなのに、なぜか「格式」「伝統」「本物」「歴史」みたいな大げさなことを言い始め、金沢人の悪いクセが出ているようだ。
これまでに前田利家公役を務めた芸能人を見れば、それが分かる。直近だと竹中直人さん、陣内孝則さん、加藤晴彦さん、高橋克典さん、保阪尚希さん…。驚くほどに俳優ばかり。ここにも、妙な気位の高さからくる「本物じゃなきゃ根性」を感じてしまう。
でもね、実際の前田利家って「サラブレッド」にまたがってたの!?
でもね、実際の前田利常は自動車で金沢に入ってきたの!?
…何だかチグハグである。
プロデューサーを置いたら?
金沢百万石まつりって、昔は「有名人が来るならちょっと見物するか」と、物珍しさから受け身的モチベーションで観衆が集まった。でも、北陸新幹線が来た頃から、日常的に全国放送で金沢が取り上げられ、旬の芸人やタレントを街で見かけるようになった。
それで百万石まつりの魅力が相対的に下がったのではないか。
しかし、百万石まつりが商業イベントであるなら、いかに内外の人を集め、たくさんのお金を落とさせるかが成否を決めることになる。なれば、最近はやりの「プロデューサー」みたいな立場を設け、好きに企画させれば良いと思う。
市役所や商工会議所の職員の能力は否定しない。が、人間には得手不得手があり、役人気質の方にアイデアマンが少ないのも事実と思う。組織人としては先の出世を考えると突拍子のないことを言い出しにくいので、企画担当者は外部から招くに限る。
人々が「おおっ、そんな人が出演するなら駆けつけよう!」「えっ、そんな面白そうなことになるなら行かないと!」と思う案を出させてほしい。
【提言】筆者なら…利家&まつは…放課後インソムニアの2人
筆者が無い知恵を絞るなら、今年の利家&まつはアニメ「君は放課後インソムニア」の映画版で主演した2人にする。放課後インソムニアは七尾市が舞台。そこから金沢に来るという行程は、七尾城から金沢城に入った利家&まつと同じ。良いと思うが…。
利家公役は数年前ならサッカーの本田圭佑選手(星稜高校出身)やスケートの羽生結弦選手も良いか。新任の金沢市長でも良いし。とにかく話題になる人なら、誰でも。まつり自体が「本物」ではないのだから。最大限に話題性を重視するべきだ。
パレードに自衛隊車両、コマツの重機、各マスコット、仮装した美大生…
例えば、せっかく自衛隊が参加するなら、吹奏楽団だけじゃなく、金沢駐屯地の自衛隊車両を走らせてほしい。そして、負けじとコマツの大型重機も。武蔵や香林坊の交差点で、自衛隊車両とブルドーザーが轟音を響かせて相撲をとったらどうだろう。
ひゃくまんさん、ツエーゲン金沢の「ゲンゾー」など、石川県に関係するマスコットにも大挙して歩いてもらう。着ぐるみの中は暑いが、一部区間だけでも、ぜひ。
ところで、金沢で仮装と言えば、金沢美術工芸大学の卒業パレードである。今年のニュースで見掛けた「三苫の1mm」の仮装は秀逸だった。この際、美大生には数十万人の観衆を前に好きなコスチュームを作って練り歩いてほしい。
もう、こうなると「百万石まつり」ではなくなる。まあ、もともと市と会議所のまつりなんだから「金沢まつり」で良いんじゃないか。
単に昔のモノマネをし合うのではなく、現在の金沢に生きる人たちが、それぞれにエネルギーをぶつける。ものすごくカオスではあっても、変に上品ぶったイベントよりも街の魅力が伝わると思うが、どうだろうか?