大阪税関が毎月公表している貿易概況(確速値)をSeeds合同会社がまとめ直したところ、2023年上半期(1~6月)の北陸3県の輸出額・輸入額は、ともに過去最高ペースとなっていることが分かった。
輸出額 | 輸入額 | |
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2022年 | 2,779 | 3,725 |
2023年 | 3,182 | 3,816 |
2023年上半期の輸出額は前年同期比14.5%増の3,182億円、輸入額は2.4%増の3,814億円だった。
2022年の北陸3県は輸出額・輸入額ともに過去最高を記録しており、2023年上半期はその2022年をも上回るペースとなっている。
ところが、2023年は輸出額と輸入額を巡る環境にやや違いが出てきた特徴がある。
輸出額は全ての月で前年を上回る
まず輸出額を月ごとに見てみる。
2023年の2、4、5月なんかは2022年に近い金額だが、それでも全ての月で2023年実績が2022年実績を上回った。
具体的な中身までは集計できないのだが、各月の貿易概況を見ると、建設用・鉱山用機械や自動車が全体を引っ張り上げているようだ。
28カ月連続の前年超え
単月で見ると、2023年6月の実績は、28カ月連続の前年同月超えとなる。
輸入は4月以降、前年割れ
一方、輸入は4月以降3カ月連続で2022年の実績を下回っている。
最近の北陸3県の輸入額は、火力発電の燃料となる石炭の価格が急騰したことで大いに底上げされていたきらいがある。
石炭価格が下落
しかし、その石炭価格がここにきて落ち着き始めた。「新電力ネット」というウェブサイトによると、2022年秋をピークに、オーストラリアや南アフリカの石炭価格が下落に転じている。
この影響により、2023年4月単月の輸入額は、実に27カ月ぶりに前年実績を下回った。この時、石炭の輸入額は前年同月比38%減で10ポイント、アルミ・アルミ合金が47%減で8ポイント、全体を押し下げた。
5、6月も石炭の輸入額は前年の半分前後の水準で推移し、15ポイントほど全体を押し下げた。
23年6月は24カ月ぶりの輸出超過に
これらの結果、2023年6月は輸出額640億円に対して輸入額が522億円となり、なんと24カ月(=丸2年)ぶりに輸出超過となった。
上記のグラフの通り、石炭価格は2022年夏から秋にかけてピークを打っている。よって、石炭市況が現状から横ばいと仮定すると、2023年下半期の石炭輸入額は2022年と比べれば大幅な減少が続くことになる。
つまり、輸出額は確かに過去最高だった2022年を上回るペースでここまで来て、そのまま通年で過去最高を更新するだろうが、既に失速し始めた輸入額は下半期にさらに2022年を大きく下回り、通年では2022年実績を下回るものとみられる。