【続報⑥】日本製麻、ゴーゴーカレーによる株式取得が「インサイダー疑い」として特別調査委員会を設置

【続報⑥】日本製麻、ゴーゴーカレーによる株式取得が「インサイダー疑い」として特別調査委員会を設置

東証スタンダード上場の日本製麻(本店・砺波市)は2023年8月29日に開いた取締役会で、大株主のゴーゴーカレーグループ(金沢市)による株式の大量買い付け行為が「インサイダー取引の疑惑が浮上している」として特別調査委員会を設置すると決めた。

発表文では「ゴーゴーカレーグループ」「宮森宏和」という固有名詞が伏せられていますが、世の中的には明らかなため、当サイトでは実名を用います。

まとめ記事は以下のリンクから

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ゴーゴー創業者の宮森宏和氏は職務停止

ゴーゴーカレーは2022年秋ごろから日本製麻の大株主として存在感を増していた。

ゴーゴーカレーを創業した宮森宏和氏は2023年3月まで代表取締役社長を務め、会長に退くとともに日本製麻の社長に就いた。一方のゴーゴーカレーは宮森氏の日本製麻社長就任後も日本製麻株を段階的に買い増した。

しかし、2023年8月21日、日本製麻は取締役会の決議として宮森氏を社長から解職し、宮森氏はヒラ取締役となっていた。

日本製麻によると、特別調査委員会の調査結果が完了するまで、宮森取締役については取締役の職務を停止する。

未公開情報を基に取引???

日本製麻はそうした大量買い付けの背景に関し、日本製麻が公表していない情報を基に、宮森氏がゴーゴーカレーに買い集めさせた「疑惑」があると説明している。事実であれば金融商品取引法に抵触するため、事実関係を把握するため特別調査委を組織するという。

委員長は外部の弁護士、委員は社外取締役が務める。疑惑の事実関係を調査するほか、事実であれば影響額の算定、原因の究明、再発防止策の提言などを任務とする。

29日の株価は急騰していた

2023年8月29日の日本製麻の株価は、前日にゴーゴーカレーがさらに株を買い増し、保有比率を19.24%に引き上げたことを好感して急騰した。

終値は前日終値比で13.77%(122円)高の1,008円だった。場中の高値は1,030円だった。

筆者としては、基本的にゴーゴーカレー(≒宮森氏)と日本製麻はあくまで対決姿勢にあり、ゴーゴーカレーは経営権の奪取を目指しているように見えるため、ゴーゴーカレーの株式取得は続き、他と争奪戦になる可能性があるとこれまで書いてきた。

しかし、筆者個人は手を出していない。ゴーゴーカレーの持ち株比率が高まれば、新株を発行してゴーゴーカレーの保有比率を下げる強硬策に出る可能性がゼロではなく、既存株主の株式価値が希釈化される恐れがあると思ったからだ。

そこに、今回の報である。思わず「そうきたか…」と唸ってしまった。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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