【独自、続報④】手取川ダムの貯水率が「節水呼び掛け検討基準」の20%割れ/23年9月11日に/過去最低

【独自、続報④】手取川ダムの貯水率が「節水呼び掛け検討基準」の20%割れ/23年9月11日に/過去最低

2023年9月10日

【追記】この記事を執筆した翌日の2023年9月11日の18時10分ごろ、手取川ダムの貯水率は20%を割りました。12日の北陸放送の報道によると、貯水率は過去最低だそうです。

石川県内で最も大きな「手取川ダム」の貯水率が2023年9月10日22時時点で20.5%となり、翌11日のうちに、行政が節水を呼び掛ける際の基準だとされる「20%」を割り込むことが確実になった。

貯水率は最近、毎日1ポイント強ずつ低下している。一方、ウェザーニューズ(千葉市)の予報によると、手取川ダムに近い「白山白峰」では、9月13日11時に若干の降雨予報があるまで、ずっと曇り予報だ。

現状はほとんど何の対策もなされていないので、誰がどう考えても9月11日のうちには、そして早ければ午前には20%を切る。この「20%」というのは、地元紙が「節水呼び掛けを行う可能性のある基準」として行政から聞いたと記事にした数字だ。

ちなみに、ウェザーニューズの「ダムの貯水率マップ」を見ると、手取川ダムは全国の大型ダムの中で際立って貯水率が低下していると分かる。

2023年9月10日22時現在の情報

まとめページは以下のリンクから

【まとめ】2023年夏、少雨で手取川ダムの水位が低下/なのに一切話題にならない不思議

2023年夏は少雨と猛暑の合わせ技により、石川県内最大のダム「手取川ダム」の水位…
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当サイトの力不足を痛感…

当サイトでは2023年8月21日にアップした記事で、初めて石川県内の水不足へ警戒を呼び掛けた。それからは手取川ダムの貯水率が10ポイント下がるごとに記事化した。

NHKや北國新聞が後追い報道をしてくれたが、新聞記事は「行政は貯水率20%切るまで大丈夫と言っている。それを切ったら節水を呼び掛けるかも」という内容にとどまった。

月収30万円の家計が、毎月50万円を支出し続けたら、100万円の貯金が5カ月でなくなるのは、小学生でも分かる。同様に、ダムの水位が低下しても節水せず、降雨予報がなければ、基準を割るタイミングは計算できる。

だから、当サイトは「いま基準に達してなくても、基準超えが時間の問題なら早めから対策を」と主張し、何か起こってから動くのではなく将来を予測して先手を打つのが危機管理だろう、と書いた。しかし、各方面は割と静かだった。

関係者からすると「県民の飲み水、手を洗ったり洗濯したりする生活用水ぐらい、俺らが富山とか長野から、ちゃちゃっと運んでくるよ」「最悪、1、2カ月ぐらい、風呂に入らなくても死なないよ」ぐらいの感じなのだろうか。

だとしても、ここで論じているのは、最終的に問題を解決できるか否かではない。そもそも危機を回避できる十分な可能性があるなら先んじて行動すべきじゃないの?という話だ。

「手取川ダム 貯水率」でGoogle検索すると、当サイトは時間帯によって、NHKや北國新聞より上位に評価されている(9月10日夜時点)。そこまで皆さんに支持いただきながら、何もできなかったことに力不足を痛感している。

20日間の写真を比較/ダム湖が「水たまり」に

当サイトで初報を載せた8月21日、貯水率は45%あった。それが今や20%を切る直前に。この20日間の様子を、ほぼ同じアングルの写真で比較する。

まずは8月21日に撮影したもの。

そして8月29日。貯水率が35%の時だ。

貯水率が25%だった9月8日時点の写真は、やや撮影ポイントがズレていて比べにくいため割愛する。そして、これが2023日9月10日午後に撮影した、最新の写真である。

もうダム湖というより「水たまり」みたいになってきた。場所によっては底が見えかけている。これが石川県で最大のダムなのである…。

より上流は、さらに悲惨なことに…

この3週間ほど「手取川ダムウォッチャー」と化している筆者が見るに、今の手取川ダムはダムへの水の流入がほとんどなく、その何倍もの水が断続的に流れ出ているから、差し引きで毎日1ポイント強ずつ貯水率が低下している。

貯水率が20%を切り、行政やマスコミが重い腰を上げれば、報道の主導権は記者クラブ加盟のメディアに移るだろう。そうなれば、当サイトの役割は半ば終わる。そこで、今回さらに上流まで足を延ばしてみた。

すると「一級河川 手取川」と思えない光景が広がっていた。

広い川幅に対して水の量が少なく、ほとんど底面が露出している…。この下流にダムがあるんだから、水位も下がるよな、という印象である。

手取川ダム、水不足で観光スポットに?

ところで、2023年9月10日午後に手取川ダムを訪れた筆者は、ダムの周辺で、これまでと違うポイントを感じた。それは…

駐車場に、車が多い。

しかも、子ども連れの若い家族やシニア夫婦など、服装からして、とても「ダムマニア」に見えない一般人の姿が多い。

筆者がダムを撮影していると、おそらく各種報道を見てダムを訪れたシニア夫婦が「おおおおっ、確かに水ないわ!これ、なんで何も言われんのや???」と戸惑っていた。

NHKが水位の低下を報道するや否や、筆者のサイトでは急激にダム関連記事の閲覧数が伸びた。水不足が「手取川ダム」の知名度を上げ、観光スポットみたいになっているようだ…。

さて「節水を呼び掛ける可能性がある」とされる20%を下回った。関係各所は何をするか。

朝晩の暑さが和らいだ昨今だが、日中の最高気温は30℃を超え、降雨予報はほとんどない。水不足なんて起こらないに越したことはないが、危機は着実に迫っている。


最後に、私が能登町で新聞記者をしていた10年ほど前、町内のダムが枯渇しかけた時の話をして記事を締めくくります。

ある日、ダムの貯水率が10%を切りそうだという記事を書くと、近所のホームセンターから貯水タンク(ポリタンクのような商品だったと思いますが…)が消えました。

そのダムが水源となっているのは旧能都町内に限定されており、影響人数でいうと10,000人ほどでした。しかし、今回の手取川ダムは事情が全く異なります。手取川ダムは給水人口にして石川県内の7割を賄う巨大な水がめであり、影響度は比較にならない大きさです。

飲料水は買えば何とかなりますが、生活用の水はそうはいきません。風呂に入れば1回で200ℓの水が要るのですから。我が家では少しずつ準備を進めたいと思います。

むやみに不安を煽るつもりはありませんが、下に貯水タンクの購入リンクを貼り、筆を置きます。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、地元新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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