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石川県内最大のダム「手取川ダム」の貯水率が、ついに25%にまで低下した。2023年9月6日、久しぶりに強い雨が石川県内に降り注ぐ中、現地を訪れてみたものの、あまりに水が少ないダムの姿がそこにあった。
ウェブサイト「石川県防災ポータル」によると、貯水率は5日深夜に26%を切り、25%台まで下がった。6日は25%台半ばで横ばい基調となった。
さて、上の写真は2023年9月6日の昼過ぎに撮影したもの。筆者は今夏、はからずも週1で手取川ダムを訪れているのだが、写真左手前から中央奥へ真っすぐ伸びるコンクリート部分は初めて見た。明らかに水が減っている。
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【追記】9月7日の北國新聞朝刊によると、20%を切るまで様子見とのことだが、9月7日夜のNHKの報道によると、6日時点で農業用水の管理者に節水が呼び掛けられていた。個人的に前者は「来週、地震が来るぞ」⇒「よし、じゃあ揺れ始めたら対策しよう」みたいな間抜けな話だと思う。
2週間前、1週間前と写真を比較
それでは、貯水率が45%だった8月21日、35%だった8月29日、そして25%になっている9月6日の写真を比較してみよう。撮影の時間帯やポイントがやや違うが、ご了承願いたい。
まず、8月21日の様子。
そして8月29日の様子。
最後に、9月8日の様子だ。
3枚目は角度がズレてしまったものの、だいぶ水が減ったのは見てとれる。以前、X(旧Twitter)にも書いたが、貯水率を風呂に例えると、100%は胸元まで水が入った状態だとすると、25%は半ケツ状態みたいな感じだろうか。風邪ひくわ。
なぜ節水を呼び掛けないのだろう
浴槽の湯の量が半ケツになるぐらい少なかったら、誰でも違和感・疑問を持つだろう。それなのに、今の石川県の関係者は、みんなが見て見ぬフリ。
ウェザーニューズ(千葉市)が提供する「ダムの貯水率マップ」(1時間更新)を見ると、手取川ダムは全国のダムを比べても特に貯水率が低い状況にあることが分かる。
9月6日の石川県内は朝からまとまった雨が降った。これで貯水率が上がるかと思ったら、横ばいがせいぜいだった。その理由は簡単で、せっかく水がダムに流入してきても、それと同じぐらい流出しているからだ。
前述の石川県防災ポータルには、60分ごとの手取川ダムの水位が記録されている。下のスクリーンショット画面にある通り、きょう(9月6日)は今夏にはなかったレベルでダムにたくさんの水が入ってきているのに、時間によっては流している量の方が多い。
筆者は何度も問題提起しているが、なぜ、これだけの状況で行政もマスコミも節水を呼び掛けないのだろう?
異様なぐらいに、この話に触れないのは、何か裏があるのか?マスコミは行政の発表待ちで、行政は他の都道府県の動き待ちなのか?でも、上記のマップを見る限り、全国で最初に水不足になるのは石川県かもしれない。そもそも、先行例なんてないのではないか。
例えば、大雪予想がある時のJRの計画運休、台風接近時の気象庁の「10年に1度のクラス」みたいな大げさな言い方で備えていれば、実際のところ思ったより被害が出なければ、結果オーライとも言える。こういうのを危機管理と言うんじゃないだろうか。
雨が降るか降らないかは人間にコントロールできない。制御できるのは使う量の増減のみ。極論すれば、対策は1つしかない。
この先も天気予報は晴れマークばかり。このまま無策・無視を続けると、県内最大の水がめの貯水率が10%台に下がり、ダムの底が見え、生活に影響が出かねなくなって慌てて対処し始め、全国から笑われるような悪い予感がする…。