【続報①】石川県内のダム貯水率低下、関係機関は1割の節水へ/犀川ダムは3週間後にも枯渇/内川ダムを見てきた

【続報①】石川県内のダム貯水率低下、関係機関は1割の節水へ/犀川ダムは3週間後にも枯渇/内川ダムを見てきた

2023年8月24日

石川県内で雨が少なく、ダムの貯水率が低下している影響で、水力発電や農業を営む関係機関が1割の節水に取り組むことになった。県が2023年8月24日に会合を開き、金沢市内にある規模の比較的小さなダム「犀川ダム」「内川ダム」の状況を共有した。

テレビ金沢の報道によると、犀川ダムの貯水率は24日16時時点で24%で、過去最低の22%に近付いている。このまま雨が降らなければ、9月中旬(つまり今から3週間後)にも枯渇するらしい。

まとめページは以下のリンクから

【まとめ】2023年夏、少雨で手取川ダムの水位が低下/なのに一切話題にならない不思議

2023年夏は少雨と猛暑の合わせ技により、石川県内最大のダム「手取川ダム」の水位…
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県が開いた会合は「犀川水系渇水調整連絡会」という名前で、事前の報道資料では「犀川ダム及び内川ダムの貯水量がさらに減少するおそれがある」ことから、基準に従って会合をセットした。

意外に近かった内川ダム

現在、落石による通行止めのため犀川ダムまで行けないので、代わりに内川ダムへ行くことにした。内川ダムがあるのは金沢市小原町だ。

野町広小路交差点から南に向かうとすると、寺町を抜け、平和町を抜け、ひたすら道なり。車なら野町広小路から25分ほどで着く。意外に近い。

水不足なんて生活の一大事だ。犀川ダムには行けないため、内川ダムには地元マスコミが大挙して…

…ん?いない。

夕方のニュースやネット上の新聞記事を見ても、会議風景か「県提供」の映像・写真ばかり。「ダムの水がなくなる!」と聞いたら、猛暑の中で現場へ急ぐのが記者の基本動作だと思うが、涼しい部屋で県の発表を写すだけなら、楽な仕事だなあ…。

というわけで、たくさんのトンボに囲まれながら、独りダムを眺める。

21日に県内最大の「手取川ダム」を見に行った時の「いやいや、水ないやん!」という驚きと比べると「それなりにあるな」という感じ。21日の手取川ダムと比べてみよう。

21日の手取川ダム
24日の内川ダム

写真の感じでは、手取川ダムの方が少なく見える。ただ、この両者は規模が全く違うのだ。

「最後の砦」手取川ダムは犀川ダムの17倍

ここで、手取川ダム、犀川ダム、内川ダムのキャパシティーを比較する。

ダム名総貯水容量
  手取川ダム   2億3,100万㎥ 
  犀川ダム   1,360万㎥ 
  内川ダム   950万㎥ 

手取川ダムは犀川ダムの17倍、内川ダムの24倍の巨大さだ。

報道によると、仮に犀川ダムの水がゼロになっても、手取川ダムから水を引けるので、ただちに水がなくなるわけではない。いわば「最後の砦」が手取川ダムなのだが、そこら中の小さなダムが同時多発的に枯渇して利用が手取川ダムに集中したら、一気に減ってしまいそう。

手取川ダムの貯水率は41%に低下

ウェブサイト「石川県防災ポータル」によると、その手取川ダムの貯水率は24日19時時点で41.4%となっている。

筆者が初報を書くに当たって21日夜に調べた際は45.0%だった。つまり、3日間で4ポイント近く低下したわけだ。毎日1ポイントちょっと減っているなら、降雨が少なければ30~40日間で枯渇する計算になるが、他の小さなダムが先に干上がれば前倒しになるだろう。

何ごとも起こらないに越したことはない。でも、今のうちに備えだけでもしておいた方が良いのかも知れない。

■おまけの内川ダム写真集

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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