津田駒工業(金沢市)が2023年10月13日に発表した2023年11月期第3四半期の連結決算は、増収・赤字縮小だった。同社は決算開示資料に「収益面が大幅に改善」と何度か記し、外部環境も好転しているとアピールしている。
売上高 | 営業損益 | 純損益 | |
---|---|---|---|
23年11月期第3四半期 | 27,839 | △1,402 | △1,512 |
22年11月期第3四半期 | 21,629 | △2,134 | △2,065 |
23年11月期の業績予想 | 41,000 | △1,000 | △1,150 |
通期業績予想の修正はなかった。
2023年11月期の営業損失額を四半期ごとに見ると、9億900万円⇒3億4,100万円⇒1億5,200万円。確かに、赤字は縮小している。ただ、相変わらず工作機械関連事業は黒字なのに、祖業の繊維機械事業は売上高が前年同期比41.2%増でも赤字が続いた。
自己資本は14億円に減少
前期末(2022年11月)に30億円あった自己資本は14億円に減少した。自己資本比率はタイトルにある通り、5%を割り込んで4.7%にまで落ちた。
自己資本を簡単に言うと、自分で集めた返さなくてよいお金で、純資産から新株予約権や非支配株主持分を引いたもの。一方、負債は遅かれ早かれ返さなきゃいけないお金で、今の津田駒工業の場合は300億円弱ある。
これをものすごくざっくりと家計に例えてみると、300万円の借金を背負っていて、貯金は14万円しかなく、その貯金も毎月の収支が赤字なのでどんどん減っている、というような状況か。
この状況、従来なら取引銀行が融資枠を設け、資金を供給しているはず。しかし、今期はそうしたアナウンスがないのが気になる。銀行は何を考えているのだろう?
決算資料に「受注が増えた」「損失が減った」とあるが、全てが回復する前に、資金繰りに窮して力尽きる可能性もあるように見える。
「もう手遅れ」との声も…
僭越ながら筆者が考えるには、もはや赤字続きの繊維機械部門を切り離して金沢市野町の広大な土地を売却し、工作機械メーカーとしてスリム化して生き延びるべきなんじゃないか、とすら思う。
だって、繊維機械部門がなければ、今期だって黒字企業なのだから。
もっとも、赤字続きの事業の売却は難しいし、野町の土地も場所は良いが、大きすぎてすぐには買い手がつかないかもしれない。
Yahoo!ファイナンスで津田駒工業の掲示板を見たら「黒字になっても手遅れって事ですか?」という書き込みに、なんと500件近くの「そう思う」がついていた。
もしかしたら、本当にそうなのかもしれない…。