ガソリン価格の高騰(高止まり)が続いている。資源エネルギー庁が発表した2022年1月11日時点のレギュラーガソリン価格(1リットル当たり)は、富山県が167.8円、福井県が166.8円、石川県が164.8円となった。
値上がりは富山が10週ぶり、福井が5週ぶり、石川が9週ぶりとなる。
ガソリン価格はコロナ禍から経済が回復し始めた昨年以降、肌感覚としては、ずっと上がり続けたような気がしないだろうか。
そこで、資源エネルギー庁が公表するデータを基に、コロナが本格的に日本国内で流行し始めた2020年2月以降の値動き(全国平均、北陸3県の分)をまとめみたのが以下にあるグラフだ。
グラフを見て分かる通り、初めて全国に緊急事態宣言が出た20年5月を底に、上昇基調に入っている。特に20年秋から冬にかけて横ばいから緩やかな上昇で推移した後は、ほぼ一貫して上がり続けている。21年は冬までほぼ一直線だ。
筆者も含め、頻繁に給油する人は昨年、ガソリンを入れる度に値上がりしている実感があっただろうが、その感覚は正しかったことが分かる。
現在の価格はどんな水準??
それでは、現在の価格は長期で見ると、どんな水準にあるのか。
資源エネルギー庁のホームページでは、2004年6月14日の調査分以降のデータで各都道府県別のガソリン価格を公表している。そこからこの1月11日までの18年間(約20年間)のガソリン価格をまとめてみたのが以下のグラフである。
足元の高騰は確かに家計に痛手だが、こうして見ると、それほど珍しい上昇ペースでも、高値でもないことが分かる。上昇の角度はこの18年間でも何度か見られるし、例えば2009年から2014年までの5年間にかけて上昇トレンドが続いたこともある。
価格で言えば、現在の水準は、その14年と同じ7、8年ぶりの高水準ではあるのだが、2008年当時はもっと高かったことも分かる。
「脱炭素」でガソリンはなくなる??
最近は「脱炭素」の世界的潮流の下、再生可能エネルギーの開発や自動車の電動化が進められる一方、化石燃料を活用するようなビジネスは逆風が吹いている。金融機関の中には、化石燃料に関する事業への融資をやめると宣言するところもある。
もっとも、個人的には、そうした世界的な潮流や理想は結構なことだと思うだが、実際はまだまだ化石燃料に頼る生活が続くとみている。そうなると、むしろ前述の事情から供給量を増やしにくいガソリンは希少になり、価格は長期的に上昇が続く可能性があるのではないか。
だからこそ、以前の記事で勧めたように、脱炭素というテーマには賛同しつつも、ヘッジとして炭素関連の株式を購入し、資産を守る(増やす)戦略が有効だと考えている。