「風が吹けば桶屋が儲かる」。ある事柄が、一見して無関係のところに影響を及ぼす、という意味のことわざ。「一見して」がポイントで、つまり実際のところは見えないところで関連があるということを示している。
では、なぜ風が吹くと桶屋が儲かるのか。由来を簡単にまとめると
①風が吹くと、土ぼこりが舞う
②土ぼこり眼に入るので、目の病気の人が増える(盲目の人が増える)
③盲目の人は三味線(しゃみせん)を生業(なりわい)とするケースが多いので、三味線が売れる
④三味線の製造はネコの革を使うため、猫を天敵とするネズミが増える
⑤ネズミは桶をかじる習性があるので、桶の需要が増して桶屋の商売が栄える
ということ。江戸時代に考えられたことわざということで、現代には桶の専門店が少なく、ほとんどの道路はアスファルト舗装されているので、具体的にはイメージしにくい。ただ、筋立は何とか理解できる。
「防衛機器」比率が7割
ところで、2022年2月16日の株式市場では、石川製作所(白山市)の株価が大幅に下落した。
同日午前11時時点の株価は前日終値から98円(6.41%)安い1,431円となっている。これは「ロシアがウクライナ国境に展開していた軍隊の一部を帰還させた」との報道で、開戦に向けた緊張が緩んだとの観測が広まったためとされる。
石川製作所はダンボールの印刷機械などを製造しているのだが、実は思い切り軍需関連銘柄。
2021年4~12月期の連結決算では、売上高79億4,200万円の69%に当たる54億6,900万円を「防衛機器事業」が占めている。これは受注高全体の70%を防衛機器が占めている点からも、特殊な状況ではないと言える。
もっとも、事業の性質上、ホームページの「製品情報」欄では「当社の技術は、国の防衛に貢献しています。」との説明のみにとどめられており、実態は見えない。
ともあれ、こうした背景から、世界のどこかでキナ臭さが増すと、同社の株価は上下しやすい。
16日は大きく値を下げているが、ロシアの軍事侵攻が現実味を帯びた段階ではかなり値上がりした。1月19日に終値で1,293円だったが、同25日には一時1,700円を超えている。ロシアが本当にウクライナに侵攻しないかは現時点で不透明なため、同社株の値動きには今後も注視したい。