北陸鉄道の高速バス名古屋線、金沢まちなか経由しないルートを標準化/22年4月から

北陸鉄道の高速バス名古屋線、金沢まちなか経由しないルートを標準化/22年4月から

2022年2月23日

北陸鉄道(金沢市)は2022年4月1日、高速バス名古屋線(金沢駅東口ー名鉄バスセンター)の経路を見直し、名古屋行き、金沢行きとも、金沢市中心部の停留所(武蔵ヶ辻・近江町市場、香林坊、片町)を通らないルートでの運行を始める。

便数は1日11往復で変わらない。

写真は北鉄の路線バスで、高速バスではありません

金沢市中心部を通らないことで、名古屋行きは金沢駅東口を出発したら、次の停留所が松任海浜公園となる。ルートがショートカットになるため、所要時間は短縮される。

現行ダイヤの名古屋行き所要時間3時間53分(全便一律)は、ルート変更によって最短3時間38分に一方、金沢行きは現行の所要時間が一律4時間3分のところ、4月以降は最短3時間50分となる

短縮されるのは10~15分程度で、この差を大きいとみるか小さいとみるかは人それぞれだろう。

ここで大切なのは、金沢と名古屋をダイレクトに結ぶ貴重な交通機関(鉄路は北陸新幹線敦賀延伸後に乗換が必要)が金沢のまちなかを通らなくなるという事実だ。

「金沢市中心部」って、どこ???

金沢駅は東西のバスターミナルが整備され、商業機能は格段に進化し、バスの乗り換え環境は改善した。今はコロナ禍で特殊な状況だが、近年の金沢駅は地元住民に観光客が加わって賑わっていた。

ただ、筆者がバス通学していた中学時代(20年前)は、同級生の一定数が乗り換えのため香林坊で乗り降りし、香林坊のバス停(日銀前や大和前)は人が多かった。

あの頃はラブロ片町もあったし、竪町も元気で、香林坊や片町を通るバスの車窓からは、楽しげな高校生や大学生の姿を多く見た。

現在は商業も交通も、主要機能が完全に金沢駅周辺に移った。1編成で東京から約900人を運んでくる北陸新幹線ができたのだから無理からぬことだ。それなのに、地元メディアでは今も「武蔵~南町~香林坊~片町」辺りを「金沢市中心部」と呼ぶことが多い。これは何をもって「中心部」なのだろうか。

市役所があるから?新聞社や老舗テレビ局があるから?

石川県内で最も地価が高い地点は、とうの昔に金沢駅前へ移っている。香林坊近辺の商業テナントが撤退するかと思えば、すぐに金沢駅周辺か郊外大型施設への移転が発表される。今回の高速バス経路の見直しを見ても、既に「金沢駅前=金沢市中心部」になっているのではないか、と思う。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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