北陸3県のコロナ破綻、累計100件を超える/2022年3月時点/東京商工リサーチ調べ

2022年3月8日

東京商工リサーチの調査によると、北陸三県で新型コロナウイルスに関連した経営破綻(はたん)の累計件数(3月7日時点)が100件を超え、102件となった。

内訳は富山県、石川県がいずれも39件、福井県が24件。このうち負債1,000万円以上の経営破綻は富山県が37件、石川県が36件、福井県が22件で大半を占めている。

石川県内では2020年に加賀市片山津温泉の旅館「加賀八汐(かがやしお)」が負債2億円で経営破綻。今年に入り、北陸三県などで「星乃珈琲店」などを展開する北陸フードシステムズ(鯖江市)が事業を停止した(負債27億円)。

全国では3,015件で、このうち負債1,000万円以上の経営破綻は2,874件だった。

コロナ禍が促す新陳代謝

上記の数字は経営が行き詰まって事業をやめた件数の合計。黒字や単年度の赤字でも財務に余裕がある会社が事業をやめる「廃業」は含まれていない。

コロナ禍では、倒産はもちろん、これを機に事業を終えるという廃業も増えた。もともと小規模な事業者は後継者不在などで事業承継が難しい状況が多くみられた。コロナが長期化して先行きが見通しにくくなり「どうせしばらく商況が上向かないなら、今のうちに…」とやめているようだ。

一方、コロナ禍で商業地の需要が減退し、テナント賃料が下落基調にあるのを好機と捉え、果敢にビジネスを始める人もいて、街の新陳代謝が進んでいる。

筆者が見る限り、こうした新規事業者はコロナ禍で十分な客足が見込めないことを前提として事業を開始している。そのため、飲食店なら、いきなり大きな「箱」を構えず、当初からテイクアウトを柱の一つに据えて事業を組み立てるなど、ニューノーマルに十分に対応したビジネスを展開している点に特徴がある。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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