【システム手帳のすゝめ】① 愛用「KNOX」を18年越し乗り換え/「ダ・ヴィンチ」の赤に

【システム手帳のすゝめ】① 愛用「KNOX」を18年越し乗り換え/「ダ・ヴィンチ」の赤に

2022年4月13日

全人類にシステム手帳の使用を勧めたい。

大学時代から30代半ばの今まで、システム手帳を使い続けてきた。最近はスマートフォンで日程を管理する人も多いが、筆者は習慣で紙の手帳に愛着があるだけでなく、リフィル(中に入れる紙)を入れ替える度に新たな気持ちになれることから、システム手帳を選んでいる。

今回、18年にわたって愛用してきたブランド「KNOX(ノックス)」から「ダ・ヴィンチ」というブランドに乗り換えたのを機に、システム手帳を紹介する。

7年にわたって使い込むと、どう経年変化するか

まず、直近まで使用していたノックスの手帳について。

30歳を前にした2015年3月、思い切った買い物として、ノックスの「Natural Tan Leather(ナチュラルタンレザー)」シリーズのナロータイプ(税込み1万9,800円)を手に入れた。

特に着色されていない革で、購入当初は写真の通り、白に近い茶のような色合いだった。革靴と同じく、たまにクリームを塗り、防水スプレーを吹き付けるだけの「ゆるい」エイジング(経年変化)を楽しんだ。その結果がコチラ。

雰囲気が変わりすぎ&風格が出すぎで、同一の物に見えない。7年間、肌身離さず持ち歩くと、こんな風に経年変化するのだ。

サイズは一般に普及する「バイブル(聖書)」「A5」と比べて細長い「ナロー」。小さすぎず、大きすぎず。長財布と同程度のフォルムで携帯しやすい。見た目の印象がスマートなので、ビジネスマンにオススメだ。

ただ、そのままだと、最も上や下のページが傷んで破れやすい。そのため、ノックスと同じデザインフィル社のブランド「PLOTTER」のリフター(写真の黒い下敷きみたいなもの。税込み462円)で強化。スケジュールを記入するリフィルが黄ばんだ白色なので、見分けがつくようメモ用リフィルは青地のリーガルパッド(80枚で税込み440円)を使ってきた。

手帳の最後には楽天やLINE、TwitterなどのIDとパスワードを一覧で記入したページがある。これが便利だ。基本はスマートフォンで自動入力できるよう記憶させているが、異なる端末やアカウントで入ることもないわけではないので、月1回ほどは見返す機会がある。

ちなみに、筆者は手帳に多機能ペン(今はジェットストリームのピュアモルト 4&1)を充て、仕事の予定を青色のインク、プライベートを緑色、投資関連を赤色で使い分けている。

システム手帳の利点は自分好みにカスタマイズできること。簡単にページを抜いたり、逆に加えたりもできるから、バラバラな分野の情報も一元化して効率的に作業できるようになる

プライベート充実で 情報も「幸せ太り」?

大学生だった19歳の頃、東京・渋谷の街角で、セール品のナローサイズの手帳(ノックス製)に出会って購入した。30歳を目前に買い替えた2代目もノックスのナローサイズを選んだ。

それだけ気に入っていたのにダ・ヴィンチのバイブルサイズへ乗り換えたのは、新聞社を退職し、生活スタイルが激変したからだ。犠牲にしてきたプライベートの予定を書く機会が増えたほか、投資する銘柄も多くなってきた・次第に、ナローサイズでは記入スペースが足りなくなってきたのだ。

バイブルサイズのリフィルは縦こそナローサイズと同じだが、横が長く、記入スペースは広い。一般に普及するサイズなので、他社製を含めてリフィルの種類が多いという特長もある。

定価は税込み7,480円で、近所の文具スーパー「事務キチ」では3割引きの5,236円。ダ・ヴィンチには定価が2万円前後する上位モデルもあるのだが、初の聖書サイズなので様子を見たかったのと、独立直後で収入が不安定という点を考慮し、無理のない価格帯にした。リング径は24mmのものもあるが、スマートさを意識して15mmにした。

それでも本革なので経年変化は楽しめそうだ。今後、何か進展があれば、随時アップしたい。

「ペーパーレスのためゴミ箱を撤去」は間違い

さて、近年、そこら中で「ペーパーレス」という言葉を聞く。筆者はこの単語に「紙を浪費せず資源を節約するとともに、作業を効率化しよう」という狙いがあると思っている。裏を返せば、有用なら積極的に紙を使おう、ということだ。

「ペーパーレスを進めるため、オフィスのゴミ箱を撤去した」という地元企業の話を耳にした。意欲的だとは思うが、目的と手段を取り違えているようだ。

本来は目的が資源の有効活用や作業の効率化で、そのための手段の一つがペーパーレスのはず。この点、ペーパーレスを目的、ゴミ箱の撤去を手段にしてしまうと、有用な紙の使用まで抑制される。さらに、ちょっとしたゴミも捨てられないという逆機能が目立つ場面も出るだろう。

ダイエットを目的にダイエットしたり、ランニングを目的にランニングしたりすると、全く続かないのと同じである。

紙に向き合うことは、自分と向き合うこと

それでは、システム手帳を持つ目的は何か。

この記事の序盤で、情報の整理整頓に適していることは書いた。加えるなら、紙に書くことで想像力が働くからだ。手を動かすことでアイディアが整う経験は、クリエイターやアーティストに限らず、ビジネスマンや子どもにもあるはず。

紙は「まっさら」なことに意味がある。PCやスマートフォンは、何度か指を動かせば瞬時に無数の情報に辿り着ける。一方、紙には何も書かれておらず、そこに何かを書くには、自分自身と真正面から向き合うほかない。

簡単に「誰かの問い」「誰かの答え」を手に入れたことで、あたかも自分の課題を見つけて瞬時に解決できたかのように錯覚してしまいがちな時代。あらためて自分の内面と対話し、見つめ直すツールとして、趣向に合わせてオリジナルにカスタムできる紙のシステム手帳がオススメである。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

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