小浜線は費用が収入の7倍、越美北線は13倍/JR西日本が収支を公表/在り方の議論を加速へ

小浜線は費用が収入の7倍、越美北線は13倍/JR西日本が収支を公表/在り方の議論を加速へ

2022年4月12日

JR西日本は2022年4月11日、経営が厳しいローカル線の収支状況を公表した。かねて輸送密度が1日2,000人未満の路線の収支を開示するとしており、北陸3県では小浜線、越美北線が対象となる。

さて、小浜線(敦賀~東舞鶴)は営業距離が84.3㎞で、2017~19年度の年平均では路線収入が3.1億円に対し、営業費用が21.3億円。実に収入の約7倍の費用がかかっている計算になる。

もちろん、収支状況が悪い主な原因は利用者数の減少で、1987年度に2,712人だった1日当たりの平均通過人員は2019年度に991人になった。約30年間で63%減少している。

越美北線(越前花堂~九頭竜湖)は営業距離が52.5㎞で、3カ年平均の路線収入は0.7億円。営業費用が9.1億円なので、こちらは収入が費用の13分の1ということになる。2019年度の1日当たり平均通過人員は399人で、1987年度の772人から48%減った。

JR西は今回の公表により、ローカル線経営の厳しさを周知させ、人口減少時代に即した公共交通の在り方に関する議論を勧めたい考え。今回は議論の俎上に乗らなかった路線も、今後の利用状況によっては、収支状況の公表から路線見直しに向けた協議の対象になってくる可能性もある。

国分 紀芳

国分 紀芳

1985年生まれ。石川県出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社に入社。キャリアの大半を経済記者として過ごす。2022年2月に独立・起業した。

PAGE TOP