北陸に本社か本店を置く上場企業のうち、2022年5月14日までに2022年3月期(前期)実績と23年3月期(今期)予想を示した31社の発表内容を見ると、今期は94%に当たる29社が増収を予想するにもかかわらず、営業増益(赤字縮小を含む)を見込むのは68%の21社にとどまった。
コロナ禍での経済停滞からの回復基調が鮮明になる一方、原材料費、燃料費の高騰が収益を圧迫するとの見通しが広がっている。
増収減益を見込むのは、川田テクノロジーズ、倉庫精練、中越パルプ工業、田中化学研究所、CKサンエツ、高松機械工業、大同工業、大建工業、KYCOMホールディングスの9社。
もともと北陸の上場企業にはメーカーが多いのだが、この9社を見ても、原材料費の高騰が収益を下押ししそうな面々である。
そうしたメーカー群の中で、やや毛色が違うのは自動車関連業界だ。この1年間、徐々に経済社会活動が再開してきたにもかかわらず、自動車関連業界は半導体不足による減産調整で頭を押さえられてきた。
その反動というか、後ズレした受注の挽回生産というか、とにかく今期は前期よりも売り上げ・利益とも伸びる見通しの企業が目立った。具体的にはタカギセイコー、オリエンタルチエン工業、北陸電気工業、田中精密工業あたりだ。
ちなみに、13日までに22年3月期決算を発表した北陸の企業は全36社。このうち、日医工、ニッコー、エヌアイシ・オートテック、コマニー、北陸電力の5社は23年3月期の予想を開示していない。16日以降は北日本紡績、三谷商事の2社が決算発表を予定している。
今期の予想、コロナ前実績を超えたのは6割
31社の23年3月期予想を、新型コロナウイルスの影響が本格化する前の20年3月期実績と比べると、増収は68%に当たる21社、営業増益(赤字縮小を含む)は62%に当たる19社となった。
売上高、営業利益の両方でコロナ前を上回る企業としては、セーレン、朝日印刷、タカギセイコー、シキノハイテック、アルビス、トナミホールディングス、福井コンピュータホールディングスなどがある。
逆に、売上高、営業利益ともコロナ前を下回る見込みなのは、高松機械工業、石川製作所、ハチバンなど。
とは言え、足元では、コロナの感染拡大、ロシア・ウクライナ問題、円安進行など、先行きが見通しにくい要因が多く残る。現状の業績予想が大きく上下に振れる可能性もある。今期はグローバルレベルの外部要因に業績を大きく左右される企業が多そうだ。