全日本空輸は2021年8月24日、10月31日以降の運航計画を発表し、かねて減便がウワサされた富山―羽田便を1日4往復から3往復に減便するとした。
期間は2022年3月26日まで。15年の北陸新幹線開業に加え、20年からの新型コロナウイルスの感染拡大によって利用が落ち込んでいた富山―羽田便は、16年以来の減便となった。
その羽田便、利用状況はどうなのか。全日空ホームページによると、20年度の利用者数は5万3、323人で、19年度から84%減少した。搭乗率は32%で、全国平均43%を大きく下回っている。
こうした状況を受け、全日空はほぼ恒常的な運休を導入し、コロナ禍の1年間は4往復中1~3往復で運航していた。おそらく、基本は1往復か2往復だっただろう。
だから、悲しいかな「4往復を3往復に減らす」と言われても、返す刀で「そもそも4往復も飛んでないじゃん」と言ってしまう。16年の富山―羽田便、小松―羽田便の減便は地元にとってそれなりに衝撃的なことと受け止められたが、今回はすんなりと受け入れられるのではないか。
小松、能登の発着路線は据え置き
一方、全日空は小松、能登の両空港を発着する路線の便数を据え置いた。
小松―羽田便の20年度の利用者数は10万7、044人で、19年度から75%減、搭乗率は46%で全国平均を超えている。
同路線には日本航空も乗り入れており、合わせて1日10往復(全日空4、日航6)ある。それでこれだけの数字を出すのだから、利用は堅調と言える。
ただ、小松空港を利用する金沢以南や福井県内には北陸新幹線が延伸していない。とりあえずコロナ禍の山場は乗り切った感じがあるが、中長期的にはどこかで減便になるだろう。
同路線はもともと両社が6往復ずつを運航していた。新幹線が来れば南加賀と東京は3時間程度で結ばれ、航空路線は劣勢に立たされるとみられる。
我慢比べにも限界がある。次に減便に踏み切るとしたら、どちらの会社になるのだろうか。