経済産業省の「商業動態統計」を基に、新型コロナウイルス禍前の2019年からコロナ禍1、2年目の2020、2021年において、小売り主要6業態の市場規模が北陸でどのように推移したかをまとめてみた。
まず分かるのは6業態の販売額を合計すると、コロナ禍においても増加傾向にあるということ。
6業態の販売額は2019年が1兆161億円、2020年が1兆379億円(前年比218億円増)、2021年が1兆626億円(同247億円増)。コロナ禍で買い物機会は少なからず減ったはずだが、こと販売額で見ると増えているということだ。
筆者なりに端的に考察する。まとめ買い需要が高まれば販売額は押し下げられるし、おでかけが減ったので高単価な衣料品の需要は下がった。
そんな逆風下で、ドラッグストア、スーパー辺りが伸びているところを見ると、この「主要6業態」ではない業態が低迷し、廃業が進んで6業態に集約されるペースが速まったのか。
上位3業態、スーパーとドラッグが伸長
小売り6業態は上位3業態・下位3業態で文字通り販売額のケタが違うので、分けて推移を見てみる。
コンビニはコロナ禍で人通りが減ったオフィス街などにある店舗の売り上げが減ったと言われる。筆者は社会的な不安定さから節約志向が高まって敬遠される面もあるのではないかとみている。
スーパー、ドラッグは着実に店舗を増やしており、2020年、ドラッグの販売額はコンビニを逆転し、2021年に差を広げている。
下位3業態、ホームセンターは一服感
下位3業態は上位3業態と比べると変動が緩やかに見える。
ホームセンターは巣ごもり需要や「おうち時間」の増加に伴う片付けニーズの高まりなどから2020年は増収だったが、2021年に一服感が出ている。
百貨店はコロナ禍の落ち込みから回復しかけているように見えるが、2021年は前年に落ち込んだ反動増もあるとみられる。経済活動が正常化に向かっている2022年が試金石になるだろう。
続いて、各年の主要6業態の合計販売額を「100」とした場合、各業態がどれだけのシェアを占めるかをグラフ化した。6業態内の勢力図とも言うべきグラフだ。
店舗数や客層、取扱商品が異なるので各業態を単純比較はできないが、販売額だけで言うと、スーパー、ドラッグの増勢に伴い、上位3業種の存在感が増している様子が分かる。
百貨店やホームセンターと比べたスーパーの市場規模は6倍、ドラッグは5倍で、コンビニを含む上位3業態の相対的なシェアは8割を占める。
新聞もテレビも未だに百貨店を「消費の王様」のように扱うが、実際のシェアは5%にすぎない。マーケットでのインパクトから考えると、消費の王様というよりも「高額消費の指標」程度に活用するのが現実に即していると思う。
「6業態」だけで実態に迫れる?
最後に、商業動態統計は北陸3県に実在する店だけが対象なのだが、現代では日々の消費活動において、インターネット通信販売も一定の比率を占めている。
それをどうやって計測するかは大きな課題だが、本当は統計にネット通販も含められると、北陸に住む人の消費生活の実態をより詳らかにできると思うのだが…。