昨年(2021年)2月に閉館して丸1年近くがたつ福井西武の新館跡地に、ボウリングやカラオケ、ゲームセンターなどを備えた総合アミューズメント施設「ROUND1」を展開するラウンドワン(大阪市)が進出する計画が分かった。
2022年2月22日に福井県議会の一般質問に立った西本恵一議員(公明)が質問の中で触れた。
ラウンドワンのホームページによると、ラウンドワンは現在、全国39都道府県に進出している。施設が無いのは山形、茨城、富山、福井、島根、鳥取、山口、長崎の8県らしい。これが近く「7県」になるのだろうか。
筆者としては大いに賛成したい動きだ。なぜなら、街の活性化には若者が歩いていることが必須だと考えるから。
これまでに福井西武周辺を訪れた回数は数えるほどしかないが、主要駅前の近くにアーケードのある商店街が現存し、多くの店がちゃんと営業していることに驚いた記憶がある。それと言うのも、石川、富山両県では多くの商店街が「シャッター通り」と化しているからだ。
放っておくと、街は老いる
これら石川、富山の商店街では補助金を受けた再整備に合わせて店を閉めたり、規制・しがらみから後継テナントが決まらなかったりする。
気付くと、大きな建物が撤退した跡地に分譲マンションができ、シニア層が大挙して移り住む。必然的に、商店街は高齢者向けの店が増えて街が老いる。
シニアの移住は否定しない。年代のバランスが大切ということだ。短期で一気に開発された団地は住人の高齢化と共に老い、さまざまな課題が一挙に現れる。そうした街には若い人が寄り付かず、人口構成が是正される余地は小さくなる。
「あの頃は華やかだった」
金沢市の竪町界隈には今も、金沢大学が金沢城公園内にあった時代を懐かしむ人たちがいる。かつて、こんな発言を聞いた。
「今は今で良い。ホテルもスポーツジムも学校もあって多様だ。でも、ファッションストリートと呼ばれて学生が歩き回ってた頃の街は、それはそれは明るくて華やかだったよ」
金大の郊外移転、金沢駅周辺の商業集積など、さまざまな外部要因が街を根本から変えた。商店街がどうしようもないことも多いが、少なからず言えるのは「街は放っておくと老いる」ということだ。
旧市街地の中心と言えば百貨店だが、百貨店が小売の王様だったのは過去の話。今や集客力は低下し、とりわけ若い世代で百貨店へ通う人は著しく減った。
現在の百貨店には、街に若者を呼んで活性化を担う力はない。
そうした意味で、福井西武跡地に若者から年配者までが幅広く楽しめるROUND1ができる意味は大きい。
金沢市や富山市は旧市街地が新幹線駅から離れており、それが旧市街地が活気を失う原因の一つだったとみられる。この点、福井市は中心商店街が新幹線駅の目の前にある。新幹線敦賀延伸へ向け、既に新幹線が通っている北陸の各都市とは違った発展の仕方も可能になるかもしれない。