希望退職への応募が少なかったため募集期限を延長していた津田駒工業(金沢市)は2022年6月14日、もともと約100人を予定していた人員削減計画に対し、最終的な応募者が48人だったと発表した。
2022年11月期の特別損失として、早期退職に伴う特別加算金1億7,000万円を加える。
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当サイトでは独自ニュースとして、当初の募集期間中に応募者があまりに少なかったため、募集期間を6月10日まで延長して追加で早期退職者を募っていることを報じてきた。
募集は5月9日に始まり、同20日に終わる予定だったが、筆者の取材では20日時点で応募者が40人弱しかおらず、期限を本来の退職予定日である6月10日に延ばした。そこで10人程度が上乗せできたとみられる。
今回の発表では退職日が「6月10日または7月1日」となっている。おそらく追加で退職に応じた社員が7月1日になるのだろう。
特別損失は織り込んでおらず
希望退職に伴う通期の特損1億7,000万円のうち、1億5,500万円は5月中間期決算に反映されるが、同社によると、この特損は中間期、通期の業績予想に織り込まれていない。同社は中間期への影響を「精査中」とし、通期への影響を7月13日に予定する中間決算発表時に公表するとしている。
普通に考えれば、特損の影響により業績予想の下方修正を余儀なくされ、赤字が思ったより拡大するという方向になりそうだ(それでも前年同期よりは赤字が小さくなりそうではある)。
過去記事に書いてきた通り、希望退職者が思いのほか集まらない状況は、極めて楽観的に考えると「愛社精神の強い従業員が多い」ということになる。だが、そんなに甘い話ではない。
経営サイドから見れば「100人ぐらい削減してもやっていけるし、会社が身軽になると思ったのに、結局48人しか集まらなかった。思ったより人件費が下がらないな……」ということになる。
また、企業業績が悪い中で希望退職を実施すれば、優秀な社員ほど転職に傾き、モチベーションやパフォーマンスの低い社員ほど居残るもの。募集期間を大幅に延長しても応募が想定の半数というのは、それはそれで深刻な状況と言えそうだ。
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