日医工、200億円を調達して上場廃止へ/投資ファンド傘下で経営再建/田村友一社長は退任

日医工、200億円を調達して上場廃止へ/投資ファンド傘下で経営再建/田村友一社長は退任

ジェネリック大手の日医工(富山市)は2022年11月14日に開いた取締役会で、投資ファンド傘下の企業への第三者割当増資によって200億円を調達した上、株式併合で株主を1社のみに絞って上場を廃止する計画を決めた。

創業家の田村友一社長は一連の手続きの中で退任する。日医工の株主が1社だけになっての社長退任なので、田村家はもはやオーナー家でも経営陣でもなくなり、日医工を手放すことを意味する。

22年9月末時点で356億円の債務超過に

日医工は11月14日、22年9月中間期の決算を発表し、米国子会社関連で474億円の減損損失を計上したところ、9月末時点で356億円の債務超過になったことを公表した。

中間期の最終損失は548億円で、前年同期の145億円から大幅に拡大した。

スポンサーはジェイ・ウィル・パートナーズ

次々とマイナス材料が出てきて経営状況が悪化する中で選んだ第三者割当増資。日医工の発表によると、スポンサーに決まったのは独立系投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)となる。

JWPが管理・運営する合同会社ジェイ・エス・ディー(JSD)に対し、1株31円57銭で株式を割り当てることで、総額200億円の払い込みを受ける。JSDにはJWP側が80%、日医工と提携している医薬品卸のメディパルホールディングス(東京)が20%を匿名組合出資する。

日医工が調達する200億円のうち、諸費用を引いた残額は198億円。このうち85億円を運転資金に、113億円を経営悪化の元凶となった不祥事を起こした富山第1工場(滑川市)の安全性の強化に向けた設備投資などに充てる。

第三者割当に合わせて株式を併合し、少数株主には代わりに現金を交付する。

株主は涙目必至の現金交付額

日医工の株価は2022年11月14日、前日の終値から4.97%(18円)高い380円で引けている。市場全体が下げている中では目を見張る上昇ぶりである。

ところが、今回の手続きに伴って既存株主に交付される金額は「36円」と発表された。

つまり、例えば今日の終値で取引した人は、いずれ36円で引き取られる株式を380円で買ってしまったということだ。

2連続のストップ安は避けられず

上記の通り、これで日医工の株価は36円が適正だと言われたようなものなので、それ以上の高値で買う人はいないはず。

11月14日終了時点の株価が380円。200円以上500円未満の銘柄は制限値幅が80円なので、15日は300円がストップ安。同様に16日は220円がストップ安となる。

2日連続のストップ安になると、制限値幅が4倍に拡大されるルールなので、17日には制限値幅が320円になる。36円未満だと株式を保有していて現金の交付を受ける方が得になるので、理論上は17日に株価36円で落ち着くことになる。

最近、ネット掲示板では「ジェネリック大手がこんな安値で買える!」「どうせ潰せないよ、こんな大企業」という楽観論が散見された。当サイトではかねて「今の日医工株は丁半バクチみたいなギャンブルだから触れるな」と言っていたのに……。

日医工は約40社にスポンサー就任を お願い

既存株主からすると、悪夢としか言いようのない今回の第三者割当増資。なぜ、こんな形に決着したのか。

日医工の発表によると、日医工は私的整理のADR手続きを正式に申請した後、事業会社や金融投資家を含む約40社にスポンサーになることを検討してくれるようお願いして回った。

その結果、複数から最終的な意向表明があったらしい。

JWPが9月26日に示した提案は、上記の通り、既存株式の大幅な希薄化や上場廃止を含む内容。会社の経営体制が根幹から変わってしまうので、日医工は慎重に検討した。

それでも、品質管理体制の強化、特定の卸会社(メディパルホールディングス)との関係強化による販売・生産効率の向上という点を重視したJWPの提案は、日医工の求める方向性と一致した。第三者割当増資という方法論に関しては、経営再建に向けた必要額の確実な調達が見込まれるという背景があった。

ちなみに、現金交付額36円については、ざっくりと言うと、そもそも現状の株価が適正価格から見て高すぎ、ちゃんと計算すると36円で十分、ということらしい。

上場廃止は2023年3、4月ごろ/新社長は未定

これからの流れとしては、2023年2月に開く臨時株主総会に、第三者割当増資に関する議案などを諮る。現段階で新たな社長は未定だが、臨時株主総会でJSDが指名して取締役に選ばれた人物の中から決める。

臨時株主総会で第三者割当増資などに関する議案に賛意が得られ、関係当局からも許しが出れば、3月ごろに新株を発行してJSDに割り当てる。そして株式を併合し、株主をJSD1社にしたところで、3、4月ごろに上場を廃止する。


現在の日医工は東京証券取引所プライム市場に上場しているが、もともとは1980年7月、名古屋証券取引所第2部で上場企業となっている。

ひと頃は年商2,000億円が視野に入り、国内3大ジェネリックメーカーに数えられた日医工。国の承認していない不適切な方法で医薬品を製造していたとして、富山県から行政処分を受けたのは2021年3月のことだ。

そこからわずか1年半で、日医工は「誰もが知るジェネリックの雄」から、ステークホルダー(利害関係者)に大損害を押し付けて非上場化する悪者に成り下がってしまった。その結果、創業家は退場を余儀なくされた。

「栄枯盛衰」とは言うものの、あまりにも短期での大転落劇である。


※ちなみに、JWPは北陸に本社を置く企業で過去最大の倒産となった江守グループホールディングスの再生も支援している。その件に関する過去の記事は以下のリンクから

※まとめページは以下のリンクから

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