JR七尾駅前の複合施設「パトリア」にドン・キホーテ七尾店がオープン / 地域停滞に歯止めかかる?

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH、東京)は7月30日、JR七尾駅前の複合施設「パトリア」内に総合ディスカウント店「ドン・キホーテ」の七尾店をオープンさせた。

ドンキが入ったパトリア

PPIHはドン・キホーテを主力に成長し、今や旧ユニーをも傘下に収める企業になっている。ホームページによると、連結の従業員数が1万4186人の巨大企業である。

これまで石川県内のドンキは大型店の「MEGA(メガ)が2店、通常店が2店あった。そういう意味では、新規出店自体もはそれほど大きな出来事ではない。

ポイントは七尾駅前へのドンキ出店が地域に与える影響がどれだけか、というところにありそうだ。

「能登の中心地は七尾」は昔話に

能登半島は長く能登有料道路で金沢圏と半ば分断されてきた。例えば奥能登と金沢を行き来するには、往復で2000円超の料金が必要だった。

七尾は古く前田利家の居城がある都市として栄え、近年は能登の商業の中心地として発展した。今回、ドンキが入ったパトリアも、10、20年前まではそれなりににぎわい、駅前は地方にある拠点都市としての華やかさすらあった。

だが、今では有料道路の無料化に伴い、能登から金沢へのアクセスが良化した。これによって能登の住民が何かを買い物に行く場所は七尾ではなく、金沢になった。加えて七尾近辺からは、これも無料の能越自動車道を経由して高岡にも移動しやすい。かつて細分化されていた商圏は、今や全県、あるいは県境を越えて拡大している。

こうした交通事情や商圏の拡大に能登地域の人口減少が加わり、少なくとも商業機能に着目した七尾は「能登の中心地」という広域で集客する場所ではなくなり、そこに住む人々が日常的な買い物をする場所にすぎなくなってしまった。今や地価では輪島に逆転されてしまった。

パトリアは近年、書店のうつのみや(金沢市)、スーパーの「カジマート」を運営する鍛冶商店(津幡町)が出店したが、いずれも数年後に撤退。跡地活用が課題となっていた。

「駅前」という考えを捨てる

そもそも、今の七尾駅は「ターミナル駅」としての機能を果たしていない。

1日の乗降者数は例えば同じ七尾線の宇ノ気駅よりも少ない。宇ノ気駅前に行ってみると分かるが、駅前には小さな個人商店が幾つか営業している程度。当然、駅に降りた客は迎えの車に乗るか、そのまま家路につく人がほとんどだ。

JR七尾駅前の様子

そう考えると、七尾駅前が巨大な再開発ビルを維持するのは至難の技である。活路は「駅前」にあるのではなく「大きな商業施設にできる再開発ビル」という点から発想することになる。

この点、地元では「七尾市役所をパトリアに移してはどうか」というような声があった。高岡市の再開発ビル「御旅屋セリオ」も高岡大和が抜けた後、同じような声があったようだ。確かに、行政は地元を裏切れないし、巨大な廃墟ビルができるよりはマシかもしれない。

でも、同時に次のような声も聞いて妙に納得してしまった。「行政なんかが入っても、じいさん、ばあさんが集まり、辛気臭い顔した職員が応対する場所になるだけ。何の解決にもならん」。そう、解決すべきはテナントの空床が続くことではなく、出口の見えない低迷から抜け出すことだ。

さて、ドンキにはどれだけの集客力があるか。消費行動というのは、いったん習慣化するとなかなか変更のハードルが高い。

「かしこまったモノを買うなら金沢」という意識が根付いた世代の足を、再び七尾に向けさせるのは難しい。この辺り、ドンキはちょうど良い立ち位置にある気がする。半ばホームセンター、半ばスーパー、半ば衣料品店というような業態は「かしこまったモノ」と「日常の買い物」の中間というか、その中間を中心に前後に幅広い客層を狙える。

以前のように広域の集客は見込めないかも知れないが、中能登町や氷見市など、近隣市町の住民ぐらいが再び七尾に目をむけるきっかけ程度にはなるかも知れない。

思えば、カジマートが入る前のテナントは旧ユニー系のピアゴだった。一度は撤退したグループが業態を変えて再進出してきた。その一点に、上記のような事情を踏まえた上で、新たな勝算があったのではないかと思う。今後、どんな手が打たれるか楽しみだ。

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