【北陸経済、マネー】JR西が最大2786億円の増資を実行!そこまでヤバいのか…

西日本旅客鉄道(JR西日本)は9月1日、最大2786億円の増資を実行すると発表した。コロナ禍に入って新幹線をはじめとする鉄道事業、ホテル事業などが低迷しているため、大型の資金調達で財務基盤を強化する狙いとみられる。

今回の増資は公募による新株式4854万5400株を発行し、第三者割当による新株式412万1700株を発行する。

現在の発行済み株式総数は1億9133万4500株で、新株式を全て発行すると、発行済み株式総数は2億4400万1600株に増える。

つまり、発行している株式が27・5%増えるということで、企業価値が一定と考えると、理論上は1株当たりの価値は2割ほど低下することになる。

 

株価は時間外取引で急落

この増資の発表は1日午後3時15分だったので、ザラ場では取引できなかった。

ただ、時間外取引では午後9時時点で、同日終値より641円(10・66%)低い5370円に急落してしまっている。

個人的な見立てでは、今回の増資が民営化後で初めてということ、今期(2022年3月期)も最終赤字予想であること、足元で新型コロナの感染拡大に収束の兆しがないこと、などから、株価の低迷は続くとみている。

もしかしたら、他のJR各社、つまり東日本、東海、九州などにも飛び火するのではないか、と懸念している。

崩れた「勝利の方程式」

このサイトで何度か紹介しているが、JR西はこれまで、山陽新幹線、北陸新幹線で利益を上げ、ローカルの赤字路線の維持費を賄ってきた。加えて近年のインバウンド(外国人客)の増加は、サイドビジネスとして手掛けるホテルやデパート業に追い風となっていた。

ホテルやデパートは駅近く(何なら構内)に作るのが一般的なため、これらは経営学の教科書で言う「関連多角化」に当たる。

コロナ禍では、こうした「多角化」が裏目に出た。結果論ではあるが、いずれの事業も同じようなベクトルだったため「外出を自粛」「外国人の渡航禁止」となれば、もろともダメージを受けるということだ。

これはJR西に限った話ではない。北陸鉄道(金沢市)や富山地方鉄道(富山市)も同じ。鉄道以外のビジネスと言えば、バス(路線、高速、貸し切り)やタクシー、不動産、ホテル、ボウリング場と、多少の違いはあれども、目を疑うほどに同じビジネスモデルとなっている。それが「シナジー(相乗効果)」を最大化する従来の「勝利の方程式」だったのだから仕方ないが…。

これらの企業は装置産業ということでどうしようもない面もあるものの、損益分岐点が高いところに特徴がある。つまり、平時では安定して黒字を出せるが、もともと人員の多さや設備の維持費などから高コスト体質なので、稼働が下がれば、補助金をもらったところで、比較的容易に赤字になる。

 

薬にも毒にもならない?

そうした状況を脱しようとする試みの一つが、北鉄による金沢市西泉のジャンボボール跡地の商業開発なのだろう。

ところが、あの開発も、当初は「健康を核にした複合施設」といった触れ込みでスタートしたはずだが、いつの間にかトーンダウンし、気付けば新商業ゾーン「コレクトパーク金沢」は食品スーパー「大阪屋ショップ」にドラッグストア「スギ薬局」、焼肉「戸板商店」、「眼鏡市場」、スポーツジム「エブリー」、コインランドリー「サブーン」など、どこにでもあるような計画になってしまった。

この計画を聞き、筆者のように、自宅が近所の人は日常の買い物場所として重宝するが、「うわあ、少し遠いけど、ぜひ週1回は足を運びたい!北鉄さん、ありがとう!」と思う人が、どれだけいるだろうか。議論を尽くした上で、こういう如何にも優等生的な、悪く言えば「薬にも毒にもならない」施設をつくってしまう体質こそ、ビジネスモデルの変革に先駆けて変えるべきところなのだろう。

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