【北陸経済】今年上半期の宿泊は14%減、客室稼働率は石川が最下位に

北陸信越運輸局が9月14日に発表した宿泊旅行統計調査の結果によると、2021年上半期(1~6月)の北陸3県の延べ宿泊者数は350万人で、前年同期と比べて14・0%減だった。県別では富山のみ増加し、石川は大きく落ち込んだ。

富山県の延べ宿泊者数は2・2%増の93万人、福井県は12・9%減の92万人、石川県は21・6%減の165万人だった。このうち、外国人はほとんどおらず、各県の延べ宿泊者数に占める比率は富山が0・6%、石川が0・4%、福井が0・5%となっている。

これらの数字を見る限り、20年上半期の富山の宿泊者数が少なすぎた可能性はある。21年上半期の富山は石川の6割弱だが、20年上半期は石川の4割強という少なさだった。

もっとも、だから「富山がすごくない」というつもりは毛頭ない。コロナ禍前の19年前半と21年前半を比べた時、石川が435万人から165万人へ6割超も減ったのに対し、富山は172万人から93万人への半減で済んだ。石川で観光客による需要が剥落した一方、富山はビジネス需要が底堅く推移した結果とみられる。

「金沢独り勝ち」今は昔

この統計からは、北陸新幹線の開業以降、地元新聞などが「金沢独り勝ち」と誇らしげに吹聴していた時代が過去のものになったことが読み取れる。

ここまで見てきたように、宿泊者数の減少ペースは北陸3県で石川が最も速かった。今回の統計で最も面白いのは、客室稼働率で富山、福井が石川を逆転した点だろう。驚くことに、この6か月間、ほとんどの月で石川の稼働率は3県で最下位だった。

もともと、富山、福井の毎月の客室稼働率は、石川と比べて5~10ポイントほど低かった。石川の稼働率が55%なら、富山や福井は50%を切るぐらいという状況が常態化していたのだ。

ホテル開発ラッシュが影響か

石川の客室稼働率が低下した背景には、宿泊者数の急減に加え、近年のホテル開発ラッシュがあるとみられる。かつて金融ストリートだった南町近辺、金沢駅周辺を中心に、片町、竪町にまでホテルが次々と進出し、人口50万人に満たない都市で、毎月のように新しいホテルがオープンした。

「金沢独り勝ち」時代はそれでも良かった。ホテルの増加ぶりを補って余りある観光客が押し寄せてきたからだ。しかし、コロナ禍で状況は一変。館内には閑古鳥が鳴き、料金の値下げの連鎖が始まった。早々に撤退したチェーンホテル、それで空いた新しい物件に移転したホテルも出た。

過熱気味だったホテル市場は、とんでもない量の冷や水を浴びせられ、一機に冷静さを取り戻したのだ。コロナ禍は底を打った感こそあるが、数カ月で旅行市場が完全に復調するとは思えない。富山、福井よりも稼働率が低い状況で、次は何が起こるのだろうか。

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