【書評・レビュー】㊦失敗を避けると、成功も遠ざける 「金持ち父さん 貧乏父さん」/ロバート・キヨサキ(筑摩書房)

【要約・続き】会社を作って節税する

節税効果を最大限に得るには、会社を設立すべきだ。以下の2点が主な理由となる。

  • 法人の所得税率(=法人税率)は個人の所得税率より安い
  • 会社は支出の一部を経費として計上できる

雇われ人の課税所得は収入から控除を引いた金額で、そこから強制的に税金を引かれ、残りを生活費とする。会社は収入から経費を引き、役員報酬を払い、残った金額に課税される。

つまり、法人化することで課税所得を上下する余地がある。

㊤で見た通り、お金はうまく使えば自分の資産を増やす「優秀で24時間働く従業員」になり得る。

自身の経済状況を好転させるには、資産を増やす戦力となる従業員を増やすことが肝心になる。そのためにも会社を作り、お金の流れを管理すべきだ。

時代によって富の源泉は変わる

投資したり事業を興したりする対象はたくさんある。そして、富の源泉というのは時代によって移り変わる。経済的に苦境にいる人は昔の考え方に固執している人も多い。

「ファイナンシャル・インテリジェンス(FI)」を養わなければならない。そうすれば、より多くの選択肢を持ち、状況に応じて対処方法を考えられるようになる。チャンスは待つものでなく、作り出すものであり、そのためにもFIが重要である。

私たちの唯一無二の財産は何か。それは自分の頭だ。

貯蓄や投資は大切だが、それらで富を築くには長い期間が必要となる。この点、頭脳と資産の力を使えば、そんな時間を節約することができる。

もちろん、自分の頭で考え、挑戦するということは、必然的に失敗することもある。

勝者は負けを恐れないが、敗者は負けを恐れる。失敗は成功のプロセスの一部。失敗を避ける人は成功も避けている。

才能のある人間はたくさんいるが、才能だけでは成功しない。一生懸命働くだけでも成功しない。

自分がどんな技術を習得したいかを考えるのが大切だ。長い目で見れば、教育は金より価値がある。才能があるのに貧しい人が多いのは、知らないからである。広く、浅く、学ぶために働いてみよう。

専門性というのは、強みでもあれば弱みでもある。専門性を高めれば高めるほど、身動きがとれなくなるという面もある。

乗り越えるべきことは以下の5点。

 

  1. 恐怖心
  2. 臆病風
  3. 怠け心
  4. 悪い習慣
  5. 傲慢さ

 

1 恐怖心…人は損をするのが怖くて、そのために損をする。損を恐れて何もしない人が多いが、失敗は自分をより強く、賢くしてくれる。いたずらにバランスを求めるのではなく、焦点を絞り、負けることを恐れてはいけない。

2 臆病風…最悪に見える時こそ、最良の稼ぎ時である。

臆病な人は批判をし、勝利を収める人は分析する

批判は人の目を見えなくする。分析は目を開かせる。

3 怠け心…欲張る心に罪の意識を持たなくてよい。「買うお金がない」とは言わない。どうすれば買えるのかを考える。

4 悪い習慣…生き方は習慣の影響を強く受ける。自分への投資を優先すべきだ。

5 傲慢さ…無知を隠すために傲慢さを利用しない。知らなければ、専門家を雇うか勉強する。

最初の10ステップ

スタートを切るために必要なのは、次の10のステップ。列記の後、特に重要な3項目のみ内容を記述する。

 

  1. 強い目的意識
  2. 自分で道を選ぶ
  3. 有人を慎重に選ぶ
  4. 新しいやり方を仕入れる
  5. 自分への支払いを先に済ませる。
  6. ブローカーにたっぷり支払う
  7. 元手は必ず取り返す
  8. ぜいたく品は資産に買わせる
  9. ヒーローを持つ
  10. 与えることの力

 

4 新しいやり方を仕入れる…現代では、何を知っているかということ自体に、さほど意味はない。浸透した頃には時代遅れになっている場合もある。問題はいかに速く学ぶことができるか、だ。

6 ブローカーにたっぷり支払う…ブローカーというのは簡単に言うと各分野の専門家のこと。自分より優れた専門家を見つけ、ちゃんと対価を払うことがマネジメントである。

8 ぜいたく品は資産に買わせる…支出を増やすのは簡単で、金の運用には精神力が必要となる。だから精神的に弱いと、十分に資産を貯められず、むしろ支出が増える。普通はぜいたく品を借金で買って負債を増やすのだが、資産で買うべきだ。つまり、先に支出するのではなく、投資などで得たリターンを充てるべきだ。

【感想】「お金からの精神的自由」が第一歩

本書の主張を簡単にまとめると、資産と負債の違いを理解した上で、資産を増やすにはどうしたら良いかを絶えず学び、考え、実践に移そう、ということである。

多くの人は専ら「お金のため」「生活のため」「家族のため」という意識で働いている。毎日のように会社の愚痴ばかり漏らすくせに「でも、仕方ないじゃないか」と言って、とりあえず酒を飲んで寝て、翌日も暗い顔で出社する。

それを本書は「お金の奴隷」と切り捨てる。

最近は金融資産の増加に成功したため働かなくても生きていける経済状況を「経済的自由」と呼び、その延長線上で、そうした状態を人生の早い段階でつくって半ば引退することを「FIRE」と呼ぶ。今、書店に行けばFIREの関連本が所狭しと並んでいる。

この点、本書は「経済的自由」ということを語る中、具体的な方法論というより、総論的な内容に終始していることだ。「とにかく金を増やすには」という最近のハウツー本とは異なり、お金に対する向き合い方をメインに解説している。

そういう意味では、お金に関する不安や恐怖心を取り除くことで「お金からの精神的自由」を得ることこそ、経済的自由へのスタートラインだと指し示しているように思う。

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