北陸の新築住宅市場、富山勢が圧倒/20年施工ランキング

日銀金沢支店が9日発表した「ほくりくのさくらレポート」によると、北陸三県の新設住宅着工戸数は1996年をピークに半減している。生産年齢人口が既に減少局面に入り、近く世帯数も減少に転じると予想されていることから、着工戸数は中長期的に減少する可能性が高いという。

このレポートの中で特に興味深かったのは、2020年の新築一戸建て施工業者ランキング。レポートでは北陸工業新聞社のまとめを引用しており、日銀が公表した資料を見て以下に掲載する。

社名所在地戸数
1石友ホーム富山県425
2ウッドライフホーム富山県357
3秀光ビルド石川県275
4住友林業東京都271
5AXSデザイン石川県255
6タマホーム東京都237
7タカノホーム 富山県220
8アーネストワン東京都170
9オダケホーム富山県164
10OSCAR富山県144

トップ10のうち、住友林業、タマホーム、アーネストワンの3社は北陸三県以外に本社を置いている。

そして、北陸の7社のうち、5社が富山県の企業だった。

2位のウッドライフホームは1位の石友ホームのグループ会社で、石友ホームは1、2フィニッシュ。近年は石川県内でも大規模な宅地開発があると、石友、タカノ、オダケなど、富山県勢の旗が何本も翻っているのが目につく状況となっている。

残る2社は石川県勢。一昔前は着工戸数が多い石川の会社と言えば、ニューハウス工業あたりが筆頭だった。しかし、このランキングに入った2社は秀光ビルド、さくらホームグループのAXSデザインという、いずれも低価格が売りの「ローコスト住宅」のメーカーだ。勢力図が大きく変わっている。

「金沢の会社は外に出ない」

そう言えば、住宅市場に限らず、富山県発祥の企業で、県外で事業規模を拡大している例は多い。売り上げ数千億円の上場企業だけを数えても、ゴールドウイン、大建工業、不二越、三協立山、日医工など。非上場で富山ゆかりの企業も含めれば、YKKあたりも該当する。

一方、石川県発祥の巨大上場企業と言えば、コマツ、クスリのアオキホールディングスぐらいか。石川で大きな会社が育ちにくい背景について、以前、石川を代表する住宅メーカーのトップに尋ね、面白い回答を得たことがある。

「富山県の企業は県外に出て稼ぐのが上手で、石川勢は下手に見える。なぜ?」

「金沢は加賀藩以来の繁栄があり、足元に大きな市場があった。極論すると、地元で店を開ければ、わざわざ外に出なくても生きられた。その時、富山の人たちは積極的に外に出て情報を集め、売れる物を作って県外で売っとったんや」

地方特有のバイアスがかった見方ではあるが、少なからず「なるほど」と思わされる。

いつまで「百万石」を誇るのか

金沢(石川)の人たちによる、こうした考え方の名残は、今でも時たま現れる。例えば、新しい石川県立図書館の愛称「百万石ビブリオバウム」を巡る論争だ。

愛称を批判する理由としては、愛称がそもそも長かったり、なぜか複数の異国語をつなげていたり、公募で応募点数の少なかったものを採用したりしたことが挙げられている。

そして、その批判理由の中には「いつまで『百万石』を引きずっているんだ」というのもあるらしい。

おっしゃる通り。筆者も石川に生まれ育ったので、歴史の授業で江戸時代の各大名の石高を円の大小で表した日本地図を見て、地元に巨大な円があることを誇らしく感じたクチだ。

連綿と続く歴史は大切にしなければならないが、今は令和。あまりに「百万石」を強調すると「過去の栄光にすがるしかプライドを充足させる方法がない」と自ら言うようで、みじめに感じてしまう。

そもそも、加賀藩領は現在の石川と富山にまたがり、石高の4割は現在の富山での収穫分ともされる。そう考えると、石川県が造った建物に「百万石」と付けるのも違うような気もしてくる(「六十万石ビブリオバウム」になるのか?笑)。

地元に誇りを持つことは人格形成の上で大事なことだと思う。しかし、それが必要以上に昔を礼賛したり、必要な施策を怠って内にこもったりする口実になってはいけない、と思うのである。

 

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