JR西日本、利用少ない在来線の収支を4月に公表/人口減少でローカル線の在り方見直しへ/北陸でも複数が対象…

JR西日本は4月、管内の在来線(ローカル線)の今後について具体的に議論を進める叩き台として、各路線の収支状況を公表する。後述するが、JR西がまず議論の俎上に乗せるために設定したラインを割り込んでいる路線は、北陸にも複数ある。

国内の人口減少に伴って沿線人口が減る中、新型コロナウイルスの影響が長期化して経営状況が悪化し、鉄道利用ニーズが変化する可能性もあることから、赤字路線の見直しに動くとみられる。

武器もなければ 防具もなかった過去

JR西日本はもともと、JR東日本の山手線や中央線など、JR東海の東海道新幹線のように「走らせとけば毎日どんどん利益が貯まる」的な路線がない(少ない)。地盤とする関西は国内2位の人口集積地域だが、私鉄が入り乱れ、JR西は必ずしも絶対優位ではない。

一方、北陸や山陰など人口密度の低い地域では多くの在来線を抱えている。

例えれば、JR東やJR東海が機関銃や鋼鉄製なのに軽い鎧で武装しているのに、JR西はせいぜい拳銃とやたら重たい防具(失礼な言い方でスミマセン)しか持たなかった。

だからこそ、想定以上の開業効果があった北陸新幹線の金沢開通は嬉しかっただろうと推察する。筆者は過去、JR西の歴代社長3人と話す機会があったが、どなたも北陸ローカルの話題に快く、にこやかに答えてくれた。とても北陸を大事にしてくれている、と感じたものだ。

かくして、低収益・赤字のローカル線の収支を好調な新幹線の利益で補うビジネスモデルができた。

しかし、そこへ運悪くコロナが拡大。インバウンド(外国人旅行者)は消えた。国内客も大幅に減り、頼みの綱の新幹線は空気を運ぶようになった。ローカル線のダメージが軽いのは幸いだったが、もともと低収益で経営的には戦力になりにくい。

そんな中、新幹線の敦賀延伸時期が延期に。泣きっ面に蜂である。

もっとも、新幹線はコロナさえ収まれば一定の回復を見せるだろう。その点、ローカル線の沿線人口の減少という課題は鉄道事業者がどうこうできるものではなく、長期的なトレンドは変わらない。こうした事情から、JR西は世界の大きなパラダイム転換の中で在来線をどうにかしたいようだ。

優先的な見直し議論対象に越美北線、小浜線

JR西が16日の社長会見に合わせて公表した資料によると、まず議論対象となるのは、同社が「大量輸送機関としての特性が発揮できていない」と位置付けた「輸送密度が2,000人未満」の路線。19年度実績に基づくと、北陸3県の路線は越美北線(399人、越前花堂~九頭竜湖)と小浜線(991人、敦賀~東舞鶴)が該当する。

輸送密度というのは営業1㎞当たりの一日平均乗車数のこと。JR西によると、1980年の「国鉄再建法」では輸送密度4,000人未満の路線はバスなどへの転換が効率的とされた。

天文学的な赤字を抱えた旧国鉄と違い、今日のJR各社はローカル線をワンマン運転に切り替えるなど人的・物的コストを削減している。それでも、とりわけ収益の厳しいラインが「2,000人」ということなのだろう。

JR西管内には、19年度の輸送密度が2,000人未満の線区が30(越美北線、小浜線含む)ある。筆者としては「結構多いな」という印象だ。該当する線区では、今後、JR西と地域、自治体などによる路線の在り方の検討が進む方向。

ちなみに北陸を走る他ローカル線の19年度の輸送密度は以下の通り。

【北陸線】

米原~金沢 24,772人

米原~敦賀 17,135人

敦賀~福井 28,524人

福井~金沢 26.700人

【七尾線】

津幡~和倉温泉 4,309人

【城端線】

高岡~城端 2,923人

【氷見線】

高岡~氷見 2,498人

【高山線】

猪谷~富山 2,288人

上記の路線は今回の「2,000人未満」に引っ掛からなかったが、輸送密度が低下傾向にあるのは同じ。利用が多い北陸線は北陸新幹線延伸で第三セクターに移管される予定で、そう考えると、ローカル線はいずれも遅かれ早かれ再編の話が浮上するだろう。

そんな話が出てから「廃止反対」と叫んでいては遅い。どうしても線区の維持を願うような人は、今のうちから線区維持のための活動(それこそ草の根でも何でも)を始めるべきだ。

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