【北陸経済、マネー】百貨店の大和、黒字予想が一転、2期連続の赤字転落へ

百貨店やホテルを経営する大和(金沢市)は9月29日、もともと黒字化を予想していた2022年2月期の連結業績が、一転して赤字に陥るとする見通しを発表した。赤字は2期連続となる。

大和の連結売上高は9割以上が百貨店業で占められている。周知の通り、百貨店というのはそもそものアパレル不況や百貨店離れにより商況が厳しく、そこに追い打ちをかけるように新型コロナウイルスによる感染拡大で、客数が減少した。

今回の業績予想の修正では、連結売上高が前回予想比7・5%減の370億円とした。前期実績と比べると9・0%増だが、コロナ禍前の20年2月期と比べると、15・2%減となる。

営業、経常、純損益の従来予想と今回の修正予想、前期実績の変遷は次の表の通り(単位は百万円、▲は赤字・マイナス)。

営業損益経常損益純損益
21年2月期▲845▲624▲412
従来予想25010050
今回予想▲600▲550▲600

前期は最初の緊急事態宣言に伴う休業期間があったため、フルに営業できた今期の業績が前期と比べれば改善するのは当たり前だ。

最近は製造業を中心に業績予想を上方修正する例が多く、下方修正というのは少数派に当たる。結果論ではあるが「なぜ、いったん黒字予想なんか出しちゃったんだよ……」という感じ。

公表資料に記載された修正理由を要約すると「コロナが収束に向かうと思って予想したが、店舗のある石川、富山が『まん延防止等重点措置』の区域になり、集客が厳しかった。宣伝費や販売管理費を見直したけど、コロナによる減収影響が大きかった」ということらしい。

株価は既に大幅値下がり7%安

業績予想の下方修正は29日の大引け後に発表されたものの、既に内容が漏れていたのか、大和の株価は29日の終値が前日比28円(7・59%)安い341円となっていた。

 

本当にコロナが原因か?

しかし、疑問がある。大和の業績悪化は本当にコロナだけのせいなのか?という点だ。例えば、大都市圏の同業他社の業績はどうだろうか。

高島屋、三越伊勢丹ホールディングス、 Jフロントリテイリング、H2Oリテイリング は第1四半期では赤字だったが、赤字幅は大幅に縮小した。 大和も第1四半期の最終赤字は3億6400万円から5800万円に縮小しており、大差はない。

通期の最終損益予想は各社とも大幅な黒字転換を見込む。

大和以外は現在のところ業績予想を修正していない。大和に続いて修正するかは分からないが、数字で見る限り、地域や規模の大小を問わず、百貨店業者はコロナ禍でほぼ等しく窮地に立たされている様子がうかがえる。

 

「一時的な顧客流出」???

それに対してコロナ禍では在宅時間が増え、ファーストリテイリング(ユニクロやGU)、しまむらなど、低価格で普段着を販売する企業が業績を伸ばした。

と言われているが、筆者はこの主張に半ば懐疑的だ。もちろん「おうち時間」の長時間化で普段着のニーズが高まった面はあるだろうが、コロナ禍で消費者の中には、今まで以上に「実用性」「コスパ」といった感覚が広がったのではないか。

「会社に行かなきゃ働けないと思っていたけど、家でもできるね」「スーツじゃないと身が引き締まらないと思っていたけど、普段着の方がリラックスできて良い」といった具合だ。

加えて、インターネット通販の便利さが見直された。その証拠に、コロナ禍で宅配の荷物量は過去最高を記録している。今まで信じていた「高価=良いもの」「こうでなくちゃいけない」といった概念が、音を立てて崩れ始めている。

これまでの感覚で「コロナの外出自粛が緩和されれば、一時的に流出した客は戻ってくる」という黒字化予想が見事に裏切られ、一転して赤字予想を公表せざるを得なくなった背景には、そうした世間の意識の変化と変わらない百貨店の意識の差が見え隠れするように思う。

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